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死から見つめる生 佛光寺でビハーラ僧講演

2023年12月30日

※文化時報2023年11月24日号の掲載記事です。

 真宗佛光寺派は15日、本山佛光寺(京都市下京区)で「僧伽(さんが)に学ぶ研修会」を開き、ビハーラ僧=用語解説=で浄土真宗本願寺派浄迎寺(奈良県大淀町)の花岡尚樹住職が「物語としての生老病死」と題して講演した。22人が聴講し、生老病死の捉え方などについて理解を深めた。

花岡住職の講演を真剣に書き留める参加者
花岡住職の講演を真剣に書き留める参加者

 八木浄顯宗務総長はあいさつで「44年間続けてきた『僧伽に学ぶ研修会』も、今回で490回を迎えた」と話し、継続する大切さを強調。「『輝く人生』は浄土の教え」と述べ、いずれ迎える死について理解を深めるよう呼び掛けた。

 花岡住職は、自身が常駐する独立型緩和ケア病棟「あそかビハーラ病院」(京都府城陽市)の概略を説明し、「講演前にも1人看取(みと)ってきた。回復が目的の医療とは異なり、穏やかな最期を迎えてもらうことが目的の緩和ケアは、特殊に思われることが多い」と述べた。

 「あそかビハーラ病院」には医学部や看護学部の学生らが見学に来る機会も多く、これまで千人近い学生と話す機会があったという。花岡住職は「いつも学生に『生死』の読み方を尋ねているが、『しょうじ』と読めたのは2人だけ。死に対するイメージは暗い言葉ばかり出てくる」と話した。

 その上で黒板に横線で時間軸を書き、始点に「生」、終点に「死」の文字を記して、「生と死を切り離して考えがちだが、本来の『生死』は一つの点の中に生も死も収まっている」と伝えた。

 また、現代人の死生観を「1カ月カレンダー」に、仏教の死生観を「日めくりカレンダー」に例え、「いのちは今しか存在しない。きょうを迎えていることは、ありがたいことの連続」とし、「人生は思い通りにならないが、だからこそ、そこに喜びがある」と語った。

【用語解説】ビハーラ僧(浄土真宗本願寺派など)

 がん患者らの悲嘆を和らげる僧侶の専門職。布教や勧誘を行わず、傾聴を通じて相手の気持ちに寄り添う。チャプレンや臨床宗教師などと役割は同じ。浄土真宗本願寺派は、1987(昭和62)年に医療・福祉と協働して生老病死の苦しみや悲しみに向き合う仏教徒の活動「ビハーラ活動」を展開しており、2017年度と19年度には「ビハーラ僧養成研修会(仮称)」を試行。計10人が修了した。

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