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緩和ケアからコンパッション・コミュニティへ

2024年2月15日 | 2024年7月8日更新

※文化時報2024年1月12日号の掲載記事です。

 東洋英和女学院大学死生学研究所は昨年12月23日、連続公開講座の第7回をオンラインで開催した。東北大学大学院の田代志門准教授が「『現代人の死に方』を支える仕組みとは ホスピスからコンパッション・コミュニティへ」と題して講演し、今後の看取りの在り方について語った。

(画像・アイキャッチ兼用:講演する田代准教授)
講演する田代准教授

 田代氏は社会学、生命倫理学が専門で、終末期医療や看取(みと)りなどを研究している。この約20年で看取りの状況が大きく変わったと感じているといい、講座では「医療の発展により、突然死よりも徐々に近づいていく死が多くなった」と話した。

 そうした「ダイイングプロセス」(死にゆく過程)が人生にとって重要な期間になると指摘。ホスピス・緩和ケアをつくり変えるための新しいモデルがコンパッション・コミュニティ(CC)だと強調した。

 具体的には、死ぬ間際に家族など限られた人のみがベッドサイドで寄り添うのでなく、早い段階から友人や知り合いが向き合えるような、社会に開かれた形が必要だと提言した。

 コンパッション都市の概念を提唱したアラン・ケレハー氏の考えに関しては、「コミュニティ」について詳しく説明。ネットワークや絆の強さ、つながりを想定した言葉だといい、「CCは元々ある近所付き合いを資源とするだけでなく、誰かの死や重大な喪失への参加を後押しすることで、新しいコミュニティや人とのつながりを生みだしていく」と語った。

 質疑応答では教育との関わりについて尋ねられ「学校から子どもをホスピスに呼び、患者との交流や感想の共有をして、子どもたちと患者の接点を作ることが大事ではないか」と答えた。

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