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ビハーラ活動「日常の中に種」 浄土真宗本願寺派

2024年3月8日

※文化時報2024年2月6日号の掲載記事です。

 浄土真宗本願寺派は1月27、28の両日、本山本願寺(京都市下京区)で第18回ビハーラ活動=用語解説=全国集会を開いた。親鸞聖人御誕生850年・立教開宗800年慶讃(きょうさん)法要記念と位置付け、「日常の中にあるビハーラの種を見出(みいだ)す」をテーマとした。慶應義塾大学経済学部の井手英策教授による基調講演や講師12人の分科会を行い、ビハーラ活動の未来を探った。

(画像アイキャッチ兼用:本山本願寺で開かれた第18回ビハーラ活動全国集会)
本山本願寺で開かれた第18回ビハーラ活動全国集会

 3年に1度開催している。前回は新型コロナ禍のためオンラインで実施し、対面で行うのは2017年度の第16回集会以来6年ぶりとなった。阿弥陀堂で開会式を行った後、聞法会館を会場に井手教授が「ライフセキュリティ〈希望と責任を分かち合う社会〉への提言」と題して講演した。

 井手教授は「『共に生きる』の言葉が通用しない社会になっている」と述べ、経済格差を是正しない政府を批判。「経済成長に依存しない新しい社会ビジョンが必要」と述べた上で、医療・介護・教育・障害者福祉を無償化する生活保障制度「ライフセキュリティ」を提唱した。

 自身が困窮する家庭で育ったことを明かし、ヤミ金業者からの借り入れを返済できず、暴力団員が何度も押し掛けてきた経験を語った。

 「助けられることは、心に屈辱を刻む」と指摘し、「全ての人が心配しなくていい社会、全ての人を等しく扱う社会をつくりたい」と訴えた。

 また、「ライフセキュリティ」とともに生活扶助、失業給付、住宅手当による「ディーセントミニマム(品位ある生活保障)」を行うことで、「苦しみや悲しみを分かち合い、人間を不安から解き放つ社会を創造できる」と強調した。

 消費税を6ポイントほど上げれば実現できると財源を示し、主要先進国の平均税率と同程度であることを説明。「今の社会は、働いて貯蓄できる人だけが幸せになるが、僕の示す社会は誰もが幸せになる。それは負担増ではない。痛みと喜びの分かち合いだ」と力を込めた。

 講演後には、ビハーラ活動推進委員会委員の成田智信善了寺(横浜市戸塚区)住職と対談も行った。成田住職の「これからの寺の可能性は」との問いに、井手教授は「お寺は人が交わる場。互いに知り合って助け合える」と語った。

【用語解説】ビハーラ活動(浄土真宗本願寺派など)

医療・福祉と協働し、人々の苦悩を和らげる仏教徒の活動。生老病死の苦しみや悲しみに寄り添い、全人的なケアを目指す。仏教ホスピスに代わる用語として提唱されたビハーラを基に、1987(昭和62)年に始まった。ビハーラはサンスクリット語で「僧院」「身心の安らぎ」「休息の場所」などの意味。

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