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医療的ケア児育む社会に 家族・支援者ら課題話す

2024年4月22日

※文化時報2024年3月8日号の掲載記事です。

 大阪府在住の医療的ケア児を育てる保護者や医療的ケアを必要とする当事者、医療・福祉関係者らでつくる「医療的ケアを必要とする児童に対する就学支援の拡充をめざす会」は2月11日、大阪府茨木市の福祉文化会館でイベント「医療的ケア児を健やかに育む共生社会をめざして」を開催した。参加者らは、保護者や支援者が抱える苦悩や必要な支援について、生の声を聞いて理解を深め、誰もが共生できる社会の在り方について考えた。(松井里歩)

 医療的ケア児の在宅生活で直面する課題について、3人が発表した。

 小学6年の息子がいる女性は、子どものケアが24時間続く中「お母さん」としてしか自分を見てもらえない状況に対し「私は何のために生きているのか」と葛藤した胸中を吐露。内職やコンビニでのアルバイトを始めたことで、個人として名前を呼んでもらえる喜びを感じたと明かした。

 また、キャリアアップを目標に据え、「障害のある子の母として、一人の女性として、社会とつながり輝いて生きていきたい」と前を向いた。

 訪問看護ステーションパーム茨木市の西田仁美さんは、普段の訪問看護の業務を紹介。「重度の心身障害児や高度な医療デバイスの管理ができる看護師やリハビリ職が、社会に少ない」と、課題を挙げた。その上で、訪問看護ステーションと児童を預かる施設が気軽に連携できる体制を整えることで、不慣れな看護師も保護者も安心できるのではないかと提案した。

 その後は災害時の課題や必要となる社会支援についてのパネルディスカッションが行われた。茨木市社会福祉協議会の吉田康将さんは「医療的ケア児の心身のケアには、つながりを広げ、深めることが必要。公的機関や商工会議所との連携、ボランティアについても検討していきたい」と述べた。

 防災士の田原佳織さんは「いろいろな障害の人にとって『助けて』と言いやすい所は、高齢者や外国人、あるいは元気な人にとっても過ごしやすい所だ」と話し、助けを求められる環境づくりの重要性を説いた。

(画像・アイキャッチ兼用:気管カニューレの挿入方法を模擬体験する参加者)
気管カニューレの挿入方法を模擬体験する参加者

 このほか会場では、普段触ることのできない医療機器の模擬体験も行われ、切開した気管の気道を確保する「気管カニューレ」を実際に触りながら挿入方法を学ぶ場面もあった。

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