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臨床宗教師の活躍、京都府と協働例に 龍谷大学

2024年4月4日

※文化時報2024年2月20日号の掲載記事です。

 龍谷大学世界仏教文化研究センターは1月17日、大宮学舎(京都市下京区)でシンポジウム「臨床宗教師=用語解説=研修の気づきと近未来」を開いた。東北大学大学院文学研究科の谷山洋三教授が「臨床宗教師の現状と近未来」と題して基調講演し、龍谷大学文学部真宗学科の鍋島直樹教授が京都府地域福祉推進課と連携した龍谷大学の取り組みについて発表した。

(画像:シンポジウムに登壇した教授と大学院生たち)
シンポジウムに登壇した教授と大学院生たち

 谷山教授は、臨床宗教師らの活動がメディアで取り上げられる機会が増えているのは期待感の表れであり、活動分野を広げていくことが今後の課題であることを示した。その上で「連携する相手は、エビデンス(根拠)を求める。宗教的ケアの効果を実証する必要がある」と強調した。

 鍋島教授は、2013(平成25)年から京都府と実施している自殺対策の総合相談会における臨床宗教師の活動について発表。府職員や弁護士らに交じって臨床宗教師が参加しているのは「公共空間において苦悩を抱える人々に寄り添い、多職種と連携して生きる力を育む宗教者」と位置付けられているためだと説明した。

 相談会での役割は、来談者を府職員と共に迎え入れ、待合室で相談内容に耳を傾ける。そして、就労支援を担う別の府職員や弁護士、臨床心理士らに橋渡しし、終了後もアンケートを行いながら傾聴を行うという。

 鍋島教授は「悩み事が法律問題や健康問題に見えても、背景に死への不安や寂しさがある場合がある。まとまらない相談をそのままはき出せる場として待合室がある」と指摘。「悩みを抱えたままでいいと感じられる場にすることが、宗教者には求められる」と話した。

 この後、龍谷大学の森田敬史教授が今年度、臨床宗教師研修に参加した大学院生6人へのインタビューを行い、研修の印象や今後の抱負を聞いた。それぞれ、自身の無力さを実感し、相手をそのまま受け止める姿勢の大切さを語った。

【用語解説】臨床宗教師(りんしょうしゅうきょうし=宗教全般)

被災者やがん患者らの悲嘆を和らげる宗教者の専門職。布教や勧誘を行わず傾聴を通じて相手の気持ちに寄り添う。2012年に東北大学大学院で養成が始まり、18年に一般社団法人日本臨床宗教師会の認定資格になった。認定者数は23年5月現在で212人。

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