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医療者ら宗教に期待、連携考える 大阪・願生寺

2024年5月21日

※文化時報2024年4月5日号の掲載記事です。

 大阪市住吉区の浄土宗願生寺(大河内大博住職)は3月23日、勉強会「人生最後の日、誰と居たいですか?」を開いた。日本福音ルーテル津田沼教会(千葉県習志野市)の関野和寛牧師が基調講演を行い、おく内科・在宅クリニック(大阪市旭区)の奥知久院長、大河内住職と鼎談(ていだん)。医療関係者ら約40人が、終末期の現場で果たせる宗教者の役割や、医療と宗教の連携について考えた。

 勉強会は、宗教を学ぶ医大生のオンラインサークルを運営した経験がある大阪公立大学付属病院の大植堯文氏が提唱し、初めて開催された。

 基調講演で関野牧師は、米中西部ミネソタ州ミネアポリス市のアボット・ノースウェスタン病院の新型コロナ病棟で、チャプレン=用語解説=として活動したことを紹介。「病棟では、家族と二度と会えないかもしれないという心の嘆きを聞かねばならない。それは、世界中の人々に当てはまる苦悩だ」と話した。また、「最期の時には、温かさを感じる言葉をかけたい。人が人として言葉を使えば、宗教の心になる。それが大きなケアになる」と語った。
 
 鼎談で奥院長は、茶道に精通した患者が、奥院長によるお点前を楽しみにしながら往診前に亡くなったエピソードを紹介。死亡診断の際にお茶をたてて、ひとさじ飲ませ、家族や看護師と共に味わったという。「人生のシンボルをどう捉えるかが大切」と語った。

(画像アイキャッチ兼用:鼎談する大河内住職、関野牧師、奥院長(左から))
鼎談する大河内住職、関野牧師、奥院長(左から)

 大河内住職は「自分の大事な核となるものを、目の前の人に分かってもらえたと思うと、場が明るくなる。本人も分かっていないメッセージを言語化するためには、他者が必要だ」と応じ、関野牧師は「パンを分けて、共に食すという視点が大切だ」と強調した。

 参加者によるグループトークも行った。自分の苦難と向き合うことがつらくて祈りをやめた人のことや、医療者自身も死と向き合うことに悩んでいる様子などが話題になった。

 大植氏は「僧侶、クリスチャン、医師が交流する貴重な機会になった。宗教と医療の連携が大事と思える内容であり、自省の機会にもなった」と振り返った。

【用語解説】チャプレン(宗教全般)

主にキリスト教で、教会以外の施設・団体で心のケアに当たる聖職者。仏教僧侶などほかの宗教者にも使われる。日本では主に病院で活動しており、海外には学校や軍隊などで働く聖職者もいる。

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