検索ページへ 検索ページへ
メニュー
メニュー
TOP > 福祉仏教ピックアップ > 『文化時報』掲載記事 > 自省利他で意識変革 僧侶ら性の多様性学ぶ

つながる

福祉仏教ピックアップ

自省利他で意識変革 僧侶ら性の多様性学ぶ

2024年7月10日

※文化時報2024年5月17日号の掲載記事です。

 真宗興正派は9日、本山興正寺(京都市下京区)の教化センター「リテラス」で、「リテラス研修会」を開いた。龍谷大学宗教部課長で浄土真宗本願寺派覚浄寺(滋賀県豊郷町)の安食真城(あんじきしんじょう)住職が「SOGI/LGBTQ 身近な多様性に気づく」と題して講演。参加者約40人は性的少数者=用語解説=を取り巻く現状と課題について理解を深めた。

 安食住職は、性的少数者が地域社会で安心・安全に過ごせる居場所や相談窓口の提供、情報発信や啓発活動に取り組んでいる。

 講演では、性的少数者を取り巻く課題に関心を持ったきっかけは2015(平成27)年ごろ、龍谷大学の教職員研修会で、LGBTQが人口の3%ほどいると知ったことだったと語った。2万人近い学生と千人ほどの教職員数から単純計算で約630人いることが分かり、早急な対応と配慮が必要と感じたという。

(画像:自身の気付きと学びを伝える安食住職=9日、本山興正寺)
自身の気付きと学びを伝える安食住職=9日、本山興正寺

 知識を求めて書店で本を手に取る際には「周囲に知人がいないか」「私が当事者だと思われないか」と考えてしまった自身の姿に気付き、恥じ入ったことを明かした。「『当事者だと思われたくない』という深層には、当事者への偏見が少なからずある。仏教は多様性を認める宗教であるはずだが、そのときの私は違っていた」と語った。

 また、学生や教職員らが談笑中、悪意を持たずとも差別的な発言や行動をしていることにも気付いたという。「性別がネタになったとき、その場のノリで一緒に笑うしかなかった自分に嫌悪した」と涙するLGBTQの学生の声も聞いた。

 安食住職は「LGBTQという言葉が一般的になった今でも、世間には性的少数者に対する攻撃的な言説や慣習があふれている。それは決してひとごとではない。自身も無自覚に当事者を傷つけているかもしれないと気付く必要がある」と述べ、「自省利他」の実践で意識を変革し、多様性が認められる社会を希求していくことが重要だと語った。

 リテラス研修会は興正派が掲げる「聞く・喜ぶ・伝える」の本質を探る場として、本年度から始まった。僧俗を問わず、各分野で活躍する講師を招き、その取り組みや姿勢を通じて日々の学びを再確認する。

 教務部担当の北岑大至参務はあいさつで「知識を積み重ねるだけでなく、さまざまな分野の講師の話を掛け算し、日ごろの学びに深みをもたらしてほしい」と呼び掛けた。

 今回はLGBTQ当事者の声を集め、安食住職が監修した「大学生のためのLGBTQ+ライフブック」(龍谷大学)が使用された。龍谷大学ホームページ(https://www.ryukoku.ac.jp)から無料でダウンロードできる。

【用語解説】性的少数者

 性的指向や性自認(SOGI)のありようが、多数派とは異なる人々。このうちレズビアン(女性の同性愛者)、ゲイ(男性の同性愛者)、バイセクシュアル(両性愛者)、トランスジェンダー(身体の性に違和感を持つ人)の英語の頭文字を取ったのがLGBTで、クエスチョニング(探している人)を加えてLGBTQと呼ばれることがある。

おすすめ記事

error: コンテンツは保護されています