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格差埋め、弱者救え ともいき財団が活動報告

2024年9月3日

※文化時報2024年6月7日号の掲載記事です。

 寺院の社会活動を支援する浄土宗ともいき財団(佐藤行雄理事長)は5月29日、東京都内で2024年度助成金交付式と23年度の活動報告・意見交換会を行った。24年度の助成金は前年比約750万円増の2282万円で67団体に交付。貧困対策、介護者支援、子ども食堂など公益性のある事業に活用される。(山根陽一)

4団体が活動紹介

 助成審査委員長を務める浄土宗総合研究所の今岡達雄所長は「バブル崩壊後の失われた30年で社会的な格差は一層広がり、従来のセーフティーネットで救えない弱者が増えた。手を差し伸べるのがお寺の使命。地域のさまざまな団体と協調し、活動を継続することが求められる」とあいさつした。

あいさつで「弱者を救うのがお寺の使命」と語る今岡所長
あいさつで「弱者を救うのがお寺の使命」と語る今岡所長

 活動報告には4人が登壇。徳源寺(滋賀県甲賀市)の西山亮副住職は、子どもが一体感を得られる食事や周辺の清掃、大人を対象としたインド旅行などを実施しており「義務や自己犠牲を伴うことはやらない。楽しくできることだけをする。人のためにも自分のためにもなる活動は、さほど頑張らなくて済む」と、継続の秘訣を伝えた。

 地元の社会福祉協議会と共に地域食堂「みんなのおウチ」を展開する淨光寺(岡山県浅口市)の中村真教住職は「子どもを独りぼっちにさせない気持ちの強さが原動力」と語った。保護者や高齢者の団欒の場にもなっているという。

 在家出身で企業の営業職だった帰厚院(北海道岩内町)の成田賢一住職は、過疎地域の魅力を再発見すべく、観光用の無料貸自転車事業を行っている。発行している「岩内サイクル新聞」は「日本地域情報コンテンツ大賞2023」の読者投票・紙部門で3位を獲得。「お寺は地域のために存在すべきだ」と強調した。

 浄楽寺(神奈川県横須賀市)の土川憲弥副住職は、海の家や飲食店での営業経験を生かし、習い事のレンタルスペースやアートギャラリー、観光イベントなどの開催を手がけている。「さまざまな需要を喚起し、適切なコンテンツを作ることが重要。人と関わる中でしか仏教は伝えられないので、お寺に来てもらう人を増やすことが大切」と語った。

 活動報告の後、川中光敎宗務総長は「寺は僧侶や寺族、檀家のためだけにあるのではない。公共に資する場所になるべきで、そうした活動をさらに広げてほしい」とエールを送った。

団体の代表者らがそろった助成金交付式
団体の代表者らがそろった助成金交付式

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