2024年9月16日
※文化時報2024年6月11日号の掲載記事です。
佛教大学は5月31日、女子少年院「丸亀少女の家」(香川県丸亀市)の筒井千景施設長と多摩少年院(東京都八王子市)の青木治院長を招き、矯正教育で用いる動機づけ面接法=用語解説=の授業を行い、3、4年生22人が手法を学んだ。
非行の動機や規範意識などを研究する作田誠一郎教授の授業。筒井施設長は、高圧的な指導を受けた入所者は、その場限りの返事で聞き流すケースが多いと指摘。薬物などの依存症の人に依存のデメリットを教える従来の手法も、効果が限定的だと伝えた。
動機づけ面接法の考え方について、青木院長は「自分で方向性を見いだして実行すると宣言すると、行動が変化する可能性が高い」と説明。「入所者の発言に誤りや愚痴があっても、そのまま受け取って傾聴する姿勢が大切だ」と強調した。
また、看護や介護現場で用いる共感に重点を置いた傾聴とは異なり、同調しながらも動機を引き出す手法を用いるべきだとした。その上で、相手の価値観と自律性を尊重する受容力や強みを引き出そうとする意思などの重要性を訴え、「相手はその人自身の専門家。教えてもらいながら、変えていく姿勢が大切だ」と語った。
作田教授は「お寺の住職が檀信徒を導く上でも使える方法だと思う」と話した。
【用語解説】動機づけ面接法(臨床心理学)
規範に反した行動を否定せず、規範を守りたいという自発的な気持ちを引き出すことで、行動変化を促すカウンセリング手法。米ニューメキシコ大学のウィリアム・ミラー名誉教授と、英カーディフ大学のステファン・ロルニック教授が提唱した。