2025年5月4日
介護職や医療職はその専門的な知識や技術を社会に役立てることが求められています。職場にいるときはもちろん、プライベートでもそうした役割が期待されるケースは少なくありません。
映画のシーンでよくある「お客さまの中にお医者さまはいらっしゃいませんか?」という飛行機のアナウンスではありませんが、介護・医療職の多くが、介護や病気に関する相談を私的に受けた経験があるのではないでしょうか。
ある県に、人口わずか約千人という過疎の山村があります。村民の多くが高齢者であり、村内には公共交通機関がほとんどありません。このため、村が民間企業を立ち上げ、移動販売車を運行して村民の生活を支えています。
そこに、看護師が新たに雇用されました。移動販売車に同乗して、先々で村民の健康相談などに応じるのが仕事です。
しかし、彼女は、自分が看護師であることを村民には伝えていないそうです。
「もしかしたら、『家が傷んで住むのが難しい』などの深刻な課題を抱えているかも知れません。しかし、自分が看護師だと分かったら、話題は病気や健康のことだけになってしまいます。本当に困っていることを正しく聞き出すためにも、あくまでも私は『移動スーパーのお姉さん』でなくてはいけないのです」
もっとも、小さな村のこと。「○○さんは実は看護師だ」という情報はすぐ知れわたってしまいました。それでも最初に気さくに何でも話せる関係を築いていたこともあって、今でも家庭のことなどを相談してくる村民が多いそうです。