2026年1月27日
介護施設では日々の生活がどうしても単調になりがちです。そのため、どこの施設でも、入居者や利用者の心身を刺激する季節ごとのイベントや行事をとても大事にしています。お正月が明けると、早くも次のイベント「節分」の準備に取り掛かるところも少なくありません。

あるデイサービスでも、豆をつかんでまくことは、高齢者にとって指や腕の機能訓練になることから、節分の豆まきが恒例行事になっていました。もちろん、鬼を演じるのはスタッフの役目です。しかし、介護スタッフは女性か若い男性であることが多いため、鬼にふんするといっても今一つ迫力に欠けてしまうのが難点でした。
そのデイサービスに新たに通い始めたのが男性のAさんでした。Aさんは70代前半と若く、身体的にもまだまだ元気でしたが、奥様を亡くして一人暮らしだったことを心配した娘さん夫婦が、自分たちが住んでいる東京に呼び寄せたのです。
Aさんがそれまで住んでいたのは秋田県でした。そう「なまはげ」の本場です。以前は「なまはげの中の人」をしたこともあるAさん。デイで豆まきイベントがあると聞き「昔取ったきねづか」とばかり、喜んで鬼役に立候補しました。
郷里の友人から本物のなまはげの面や装束を送ってもらい、大声で「泣ぐごはいねか~」と登場したところ、余りの迫力に、遊びに来ていた利用者の孫が大泣きしたり、部屋の隅に身を隠してしまう利用者が出たりと大騒ぎになったそうです。
結局「あまりにリアル過ぎるのもどうか」ということで、Aさんの鬼役はこれ1回限りになってしまいました。「またなまはげができるということで、ついつい張り切りすぎてしまいました」と、Aさんも反省しきりだったそうです。