大石内蔵助といえばどの俳優？　大論争の末に…

2023年6月10日

　老人ホームなどで過ごす人たちにとって、毎日の楽しみの一つがテレビや映画の鑑賞です。特にコロナ禍で思うように外出やレクリエーションができなくなってからは、食堂などの共用スペースに集まって、皆で楽しむ機会が増えています。また、施設の中には、「コロナ禍で少しでも楽しんでもらえれば」と、100インチの大型モニターを新たに導入したところもありました。

　高齢者に人気なのは「時代劇など昔のドラマ・映画」「昔の歌手の映像」「旅・紀行番組」だとか。かつては入居者のリクエストに応じて、スタッフがレンタルDVD店に自転車を走らせることも多かったのですが、最近では衛星放送やユーチューブなどの動画配信サイトが充実しており、その手間も少なくなったようです。

　さて、ある日、衛星放送で昔の「忠臣蔵」を見ていた老人ホームの入居者たちが、「誰が演じた大石内蔵助が一番好きか」で盛り上がりました。「やはり里見浩太朗さんのイメージ」「私は北大路欣也さん」などなど、話は尽きません。そのうちに大石内蔵助だけでなく、「水戸黄門といえば誰か」「遠山の金さんでは…」と話題が広がりました。

　夕食時、入居者の一人が、昼間テレビを見ていなかった入居者に「ねえ、あなたはどの内蔵助が一番好き？」と尋ねました。すると尋ねられた入居者は、きっぱりとこう答えたそうです。

　「高倉健さんに決まっているでしょう。だって本物にそっくりじゃない」

　もちろん、理屈としてはめちゃくちゃな話ですが、あまりにも堂々とした断言っぷりに、スタッフを含めて全員が思わず納得。かくしてこのホームの「内蔵助は誰がいいか論争」は、めでたく決着したそうです。

コミュニケーションレクリエーション介護職福祉仏教老人ホーム

わかりあう

福祉あるある