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生きることば

キュウリを植えればキュウリが実る

2024年8月12日

キュウリを植えればキュウリと別のものが収穫できると思うな。
人は自分の植えたものを収穫するのである。
――農政家、二宮尊徳(1787-1856)

生きることば

 全国の小学校に設置されている二宮尊徳(通称・金次郎)の像。まきを背負って働きながら本を読む姿が印象的ですよね。

 そんな彼が実際にどのような人物だったのか、皆さんはご存じでしょうか?

 二宮尊徳は、江戸末期に活躍した農政家です。裕福な農家に生まれましたが、幼少期に家が没落してしまいます。金次郎少年は家を建て直すため、働くかたわら勉学に励みました。そして努力が実り、家の再興に成功します。

 この経験を生かし、さまざまな地域の財政の立て直しや農業の復興に尽力しました。70年の生涯で、600もの村落に農政の指南をしたといわれています。

 二宮尊徳の活躍には、「報徳」という考え方が色濃く反映されていました。

 報徳とは、人や物に備わる「徳」を、社会のために活用するという思想です。他者へと利益を還元することが、回り回って自らの幸福にもつながるというのです。この思想を抱いていたからこそ、彼は多くの人を救うことができたのでしょう。

 

 今回ご紹介するのは農政家の二宮尊徳らしく、野菜を例とした言葉です。

 キュウリを植えてもナスやニンジンが実らないように、自分がやったこと以上の結果は返ってきません。期待しても無駄というものです。

 大事なのは、自分にできることを着実に積み重ねること。目の前の仕事に向き合い、誠実にこなしていけば、いずれ自分の財産となって返ってくるでしょう。

 ところで、近年座って本を読む尊徳像が作られているのをご存じでしょうか? 本を読みながら歩く姿が、「歩きスマホ」を誘発すると危惧されているのだとか…。

 少し寂しい気もしますが、働きながら勉強することを強いられた金次郎少年にとっては喜ばしいことかもしれません。ようやくじっくり本を読めるのですから。

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