2025年3月27日 | 2025年3月28日更新
※文化時報2024年11月19日号の掲載記事です。
「リカバリー・パレード」が関西の地で行われるようになって、数年が経つ。依存症や精神障害、生きづらさからの回復について社会にアピールする取り組みだ。
おそろいの水色のTシャツを着て街を歩くパレード自体も楽しみだが、何より普段は交流が少なめのさまざまなアディクション(依存症)を持った人たちと、垣根を越えた話し合いをして、交流できるのがうれしい。
今年は10月20日(日)に京都で行われた。円山公園(京都市東山区)に集合して、八坂神社から四条河原町を通り、京都市役所へとメインストリートを抜けてゆく。
秋空の下、声高くシュプレヒコールが響いた。
《私たちも社会の仲間です》
《仲間がいれば 回復できます》
《あなたは 一人ではありません》
《依存症は 誰もがかかります》
《回復を信じ 応援する社会を》
それぞれが手に持って掲げるプラカードには、自分なりのメッセージがつづられていた。自傷行為について書いている人もいれば、何回も入退院を繰り返した末に素直な気持ちや願いを書いている人もいた。
シュプレヒコールを上げ、みんなの顔を見つめながら思ったのは、今日のこの瞬間が、この場所の「当たり前」になってほしいなぁ、ということだった。
もしかしたら、街角で誰にも相談できず苦しむ人がいるかもしれない。依存の問題を抱える誰かがいるかも分からない。問題を抱える本人のそばで、どうしようもない気持ちでいる家族や友人がいるかもしれない。
声に出して話したい、一人じゃつらすぎる、助けてほしい…そんな声が、違和感なく受け入れ合える社会をつくりたい。
私にとってリカバリー・パレードは、歩くことだけではなく、たとえ小さくささやかでも、ここに依存や助けを必要とする人たちが当たり前にいていいんだ―と感じられる場をつくることだ。
それが実感できるような実践をしている気がする。