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「文化時報」コラム

〈33〉それってあなたの…

2023年5月10日 | 2024年8月5日更新

※文化時報2022年12月16日号の掲載記事です。

 最近、小学生の間でこんな言い回しがはやっているそうです。「それってあなたの感想ですよね?」。ご相談者が小学生のお孫さんに「もっと集中して食べなさい!」とお小言を言ったところ、そう返されたそうです。

傾聴ーいのちの叫び

 なんでもとある有名な方が「人と話すときは相手を論破してなんぼ」と説き、件の「それってあなたの感想ですよね?」を最終兵器と教えているのだとか。

 なんともスッキリしない物言いです。そもそも、人と話をするとき「論破してなんぼ」と構えなくてはならないなんて、なんとかわいそうな。どうしてそんなしんどい在り方になってしまったのでしょう。

 小学生のみんな、世の中はそんなに悪いことばかりではないよ。そりゃ、嫌なやつもいるし、意見の合わない人もいる。そんな時はね、「そういう考え方もあるのか。ふ~ん」って、見ておけばいいんだよ。相手を言い負かす必要なんてないし、かといって、その人の言う通りにする必要もない。正解は一つじゃないんだからね。1+1=2だって決まっているのは、算数だけなんだよ。

 教材としてタブレットを1人に1台ずつ無料で渡す小学校が増えてきているそうです。文明のなんたる素晴らしさ。息をするようにタブレットを操作する姿に、素直に感服します。でも、一方で、かじ取りの基礎もできていないうちに、玉石混交の情報の大海にこぎ出してしまった小さな船の行く末が心配です。

 さ、こっちおいで。「それってあなたの感想ですよね?」そうだよ。ばあちゃんの感想だ。でもね、あんたよりちょっと長く生きてるからね、ちょっとは多くものを知っているんだよ。論破しようなんて構えてなくていい。もっと力を抜いて、安心していいんだよ。誰も取って食いやしないからね。

 それこそ、ばあちゃんは、あんたの感想を聴きたいんだ。ほら、ここに座って。今日はどんなことがあった? どんなことを考えた? ごはんは何を食べたの? ああ、あんたの話は面白いね~。

 

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