2022年10月22日
介護保険サービスの中で、「開業のしやすさ」ではデイサービスが一番でしょう。居住系は初期費用が高額なのが難点です。訪問系は、初期費用は少額ですが、他との差別化が難しく、利用者獲得に苦労することがネックです。
それに対しデイは、初期費用がそれほど高くなく「機能訓練」「お泊り」など差別化しやすい点が魅力です。介護フランチャイズビジネスの多くがデイなのも「開業のハードルが低く、オーナーを集めやすい」のが理由です。
しかし、この結果としてデイは増え過ぎた感があります。
厚生労働省によると2020年末時点のデイの数は4万3754カ所(通所介護と地域密着型通所介護の合計)。ちなみにコンビニエンスストアは22年1月時点で5万6936カ所です。老若男女全てが対象のコンビニと、要介護・要支援高齢者(しかも、要介護3以上の利用は非現実的)に利用者が限定されるデイとで約3割しか店舗数が変わらないのは、正直驚きです。
「これだけ数が多いと、利用者獲得に苦労するのでは?」と心配する声もあるでしょう。事実その通りで、中国地方の某都市は「デイサービス通り」と呼ばれる道路があるほどデイが多く、競争が激化していました。その中で、一部のデイは個人宅を訪問して集客していたそうです。
「○○デイサービスですが、ご利用いかがですか?」
「高齢者はいるけど、要介護ではないので行く必要がない」
「お元気でも構いません。無料ですので遊びに来てください」
こうして、無料体験会で高齢者を集めます。その中で、ぽろっと「今日は、足が痛くて…」などと口にする人がいたらしめたものです。すかさず系列の居宅介護支援事業所からケアマネジャーが飛んできて要介護認定を受けさせ、正規の利用者としていたそうです。