2023年2月15日 | 2024年12月2日更新
前回の記事では、日本の家に特有の「寒さ」が、心筋梗塞などのリスクを高めてしまうことを紹介しました。今回は、温度変化が原因で起きる「ヒートショック」を防ぐために、比較的低予算でできる対策をお伝えします。
・脱衣所と浴室全体を暖める
浴槽にお湯を張る際には、設定温度を高めにし、浴槽のふたを開けておくと、湯気で浴室全体が暖まりやすくなります。また、可能であれば脱衣所には専用電気ヒーターを置き、暖めておきましょう。
また、浴室に入る前にシャワーで床や壁面を暖めることで、冷たい感覚を防ぎます。脱衣所で服を脱ぐ間も、お湯を出しっ放しにして暖めることがおすすめです。
・すのこやマットで足の冷えを守る
足の冷えを守るため、床にすのこやマットを敷きましょう。足裏から床の冷えをじかに感じると、血流も悪くなり足が動きにくくなります。冷えた脱衣所や、昔ながらのタイル貼りの床に足を踏み出すことは、何といっても苦痛でしかありません。
できれば木製のすのこを敷いて、床から足を少しでも離しましょう。寒さの感じ方が変わります。体を洗う時には、すのこの上にさらにお湯で濡らしたバスタオルを敷くと、湯冷めするのを防いでくれます。
・窓からの冷気を遮断
浴室にある窓からの冷気で、室内の温度はかなり下がっています。窓を二重にするのが一番の対策ですが、そこまで費用をかけずに防ぐ方法もあります。ホームセンターでシール状の断熱シートや、配送された荷物に入っているプチプチシート、透明プラスチックボードなどを購入し、窓に貼り付けること。断熱材の代わりになってくれます。
応急処置の場合には、段ボールやバスタオルをロール状にし、サッシの周りに置くだけで冷気を防ぎます。
寒さから身を守ることは、不快感を取り除くだけでなく、健康改善にもつながります。血圧の高さを心配していた人が、窓に断熱シートなどを設置したことで心身が安定し、自然と血圧も下がったという話もあるそうです。
また、寒さは脳の老化を早めるともいわれます。寒さのせいで自分から全く行動できず布団にくるまって寝ていたり、こたつから出ずに一日過ごしたりする高齢者が多いのです。
人間は心地良い環境でなければ「何かしたい」という気持ちにはなれません。意欲が湧かないことは、アルツハイマー型認知症の原因になるともいわれています。
寒さが原因で、病気や老化を早めてしまう前に、できることから対策を行いましょう。