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お寺と福祉の情報局

誰かが誰かのために働く―お彼岸って何?(中)

2024年9月8日 | 2024年9月9日更新

 春分の日と秋分の日を中心に7日間ある「彼岸会(ひがんえ)」。前回の記事では彼岸会を行う理由を説明しましたが、果たしてどのようなことを行っているのでしょうか。これから最高のアイテムをゲットできる「冒険物語」の前半戦をお伝えします。あなたは乗り越えて無事にクリアできるでしょうか―。

1日目:さよなら恐怖

 初日に取り組むのは布施波羅蜜(ふせはらみつ)。布施と聞くと、お坊さんに払うお金のように思うかもしれませんが、誰かのためになる行為を指します。

《写真》w2409知る・仏教の豆知識・お彼岸㊥02(前半)大橋
キャプション 布施と聞くと思い出すのが慶弔袋
布施と聞くと思い出すのが慶弔袋

 真理を教えたり、恐れを取り除いたりする行為がこれに当たります。

 恐れを取り除くといえば、介護や医療などに携わる方々は、毎日が布施波羅蜜の修行期間なのかもしれません。人の不安を取り除くのですから、尊いお仕事です。だからこそ大変であり、やりがいがあるのかもしれませんね。

2日目:厳しい生活(?)

 2日目になりました。今度は持戒波羅蜜(じかいはらみつ)。「戒」を保つ修行だそうです。

 戒と聞くと、お酒は駄目、肉食(にくじき)妻帯も駄目―というイメージが強いですが、本質は「良いことをして、悪いことをしない」ということです。

《写真》w2409知る・仏教の豆知識・お彼岸㊥03(前半)大橋
キャプション 戒と聞くと僧侶の修行を思い浮かべる
戒と聞くと僧侶の修行を思い浮かべる

 そんな生活をしていると、毎日が健やかになると感じませんか?良いこととは、人のためになることであり、仏教では「利他」と呼ぶ行為のことです。

 思えば、社会で仕事をすることは、それだけで誰かのために役立つ行為です。毎日大変かもしれませんが、人の役に立ち続けているのだと思えば、少しは救われる気持ちになれるかもしれません。

 私たちの社会は、常に誰かが誰かのために仕事に取り組んで成り立っているのです。

3日目:しのぶことを体得

 3日目は忍辱波羅蜜(にんにくはらみつ)です。忍辱というのは、「辱(はずかしめ)」をしのぶこと。どのような悪口を言われようと、耐え忍ぶことです。そうした姿勢を「忍辱の鎧(よろい)をまとう」といいます。

 非難されようとも、正しい行いをして揺るがない姿勢を「高潔」と呼びます。周囲に流された方が楽に感じるかもしれませんが、間違ったことを続ける方がよほど苦しいのではないでしょうか。

《写真》w2409知る・仏教の豆知識・お彼岸㊥04(前半)大橋
キャプション 「にんにく」と聞くといえば、やっぱりこれ
「にんにく」と聞くといえば、やっぱりこれ

 福祉の世界では、「誰のためのケアか」という言葉が語られます。介護の効率化が当事者の思いを踏みにじることもあります。

 そんなときに、ケアラーの心構えはどうあるべきでしょうか。当事者のために、「忍辱の鎧」をまとわねばならないときも必要なのかもしれません。

4日目:折り返し地点

 秋分の日がやってきました。彼岸会の折り返し地点「中日(ちゅうにち)」です。

 この日は、どのような修行も割り当てられていません。だからといって、休憩する訳ではないのです。なにしろ節目の日なのですから。

 節目は、過去を振り返り、未来を見つめる機会になります。これまでの自分はどうであったか、これからの自分はどうあるべきか。

《写真》w2409知る・仏教の豆知識・お彼岸㊥05(前半)大橋
キャプション 仏の世界は蓮の花に例えられることもある
仏の世界は蓮の花に例えられることもある

 仏教の教えである中道=用語解説=になぞらえた中日だからこそ、自分の考え方に偏りがないか、これまでの生き方が自分の利益ばかりを追求していないか―などを模索する機会とするのがいいでしょう。

(㊦に続く)

【用語解説】中道(ちゅうどう=仏教全般)

 相互に矛盾し対立する2つの事柄から離れること。「有」と「無」といった正反対のどちらの立場にもよることなく、偏りのない状態を示す。苦行と快楽の両極端を排斥し、不苦不楽の立場を選ぶ姿勢で、仏教の真髄ともいわれる

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