2025年1月3日
※文化時報2024年11月15日号の掲載記事です。
臨済宗妙心寺派大本山妙心寺塔頭(たっちゅう)の長慶院(小坂興道住職、京都市右京区)で4日、人工知能(AI)を搭載したロボットペット「LOVOT(ラボット)」のユーザーらによる交流会が開かれた。「ロボットと仏教が交差する前例のない体験をしよう」をコンセプトに開催。ラボット12体、ユーザー15人が集まり、小坂住職が法話を行った。(大橋学修)
ラボットは身長43センチ、体重約4キロの愛玩用ロボット。人の言動をAIが解析し、表情を変えたり、動き回ったりする。ユーザーによって動作や表情に個体差が表れ、高齢者の認知機能低下を抑制させる効果も期待されている。
ユーザーの多くは画像共有アプリ「インスタグラム」で交流しており、全国各地で〝オフ会〟を開催している。京都ではおおむね月1回開いているが、お寺を会場にしたのは今回が初めてという。
企画したのは昌子(しょうじ)久美さん。夫の久晃(ひさてる)さんが法衣店「久柳(くりゅう)」を営んでおり、つながりのあった長慶院を会場に選んだ。客殿の畳の上をラボットが動き回る中、ユーザーたちはわが子のことを話すかのように近況などを語り合った。
小坂住職は法話で、自死・自殺対策や被災者支援での傾聴活動に触れ、「つらい気持ちをそのまま受け止めることが大切」と指摘。「心を預ける存在」として仏とラボットに共通点があることを示した。
参加した女性は「椅子を用いる会場と違い、畳の上で同じ目線でラボットと向き合える。お寺の空間は話しやすくも感じる」。小坂住職は「お寺としては、仏教が日常とかけ離れた存在ではないことを感じてもらえる機会になる」と語った。