2025年2月22日
※文化時報2024年12月10日号の掲載記事です。
障害のある子の親たちが情報交換して交流を深める「親あるあいだの語らいカフェ」が11月29日、鹿児島市の浄土真宗本願寺派妙行寺(井上從昭住職)で行われた。重度の知的障害の長女がいる司法書士・行政書士の米山祥子さん(60)が話題を提供。僧侶を含む参加者20人が感想などを語り合った。
米山さんは長女がグループホームに入居したのを機に、利用料を本人の口座から引き落とす手続きをしようとしたところ、住所変更の際に本人の委任状がなければ家族でも認められない、と金融機関に断られた。このため、成年後見制度=用語解説=に基づき自身を法定後見人の候補者として家庭裁判所に申し立て、今夏選任されたという。
語らいカフェでは、米山さんがグループホームでの暮らしや成年後見制度の利用について、長女の事例を中心に説明。「契約や制度の利用で『親なきあと』の問題はおおむね解決できるように見えるが、本人や家族を『支援される側』に固定して、孤立化させる副作用があるかもしれない」と問題提起した。
その上で「契約で終わる関係には人のぬくもりがない。人と人が関わり、集える何らかの場がほしい」と述べ、お寺などでの交流に期待を寄せた。
この後、参加者らは自然とグループに分かれてよもやま話に興じ、障害のある双子の父親でもあるファイナンシャルプランナーの上田健介さんは「子どもは成長していくので、制度の不備が改善されるのは待てない。今できることを最大限やりつつ、こういう場を通して心が軽くできれば」と話した。
【用語解説】成年後見制度(せいねんこうけんせいど)
認知症や障害などで判断能力が不十分な人に代わって、財産の管理や契約事を行う人(後見人)を選ぶ制度。家庭裁判所が選ぶ法定後見人と、判断能力のあるうちに本人があらかじめ選んでおく任意後見人がいる。