2024年2月13日 | 2024年7月8日更新
※文化時報2024年1月12日号の掲載記事です。
一般財団法人お寺と教会の親なきあと相談室(小野木康雄代表理事、京都市下京区)の支部を開設している真宗大谷派の聞法道場、あかんのん安住荘(三浦紀夫館長、大阪市平野区)は昨年12月19日、「親あるあいだの語らいカフェ」を開き、不登校に関する講演と座談会を行った。当事者の親たちを含む約20人が訪れ、さまざまな立場から不登校について語り合った。
親なきあとは、障害のある子やひきこもりの子の面倒を親が見られなくなった後、子どもがどう生きていくかという問題。あかんのん安住荘には普段、障害のある子の親や福祉事業所の関係者が訪れるが、今回はひきこもりと密接に関係する不登校を初めてテーマに掲げた。
講演は、大阪府岸和田市で「こころ・からだ・くらし相談室ハルジオン」を運営する社会福祉士・公認心理師の渡邊充佳さんが「親には親の人生がある。子どもは子どもの人生を生きる」と題して行った。
渡邊さんは、問題とされることは心の中ではなく、関係の中で起きると指摘。「なぜ学校に行かないのか」という問いは、行けない原因を子どもに求める発想であり、「行きたいのに行けない」という子どもを追い詰めてしまうと説明した。
このため、「なぜ毎日学校に行くのか」という問いに変えることで、親が「なぜ毎日会社に行くのか」と照らし合わせて考えることを勧めた。
また、「一人一人の生まれ持った才能は多様なのに、学校の授業で発揮できる力はごく一部」と強調。「子どもも親も先行きの不安に支配されるのではなく、地に足の着いた一日を送ることが大切」と呼び掛けた。