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命は等しく金色 ビハーラ僧・花岡住職再び登壇

2024年2月20日

※文化時報2024年1月19日号の掲載記事です。

 真宗佛光寺派は昨年12月20日、本山佛光寺(京都市下京区)で「僧伽(さんが)に学ぶ研修会」を開いた。前回に続いてビハーラ僧=用語解説=で浄土真宗本願寺派浄迎寺(奈良県大淀町)の花岡尚樹住職が登壇し、「我が身にある優生思想」と題して講演。25人が聴講し、幸・不幸の捉え方などについて理解を深めた。

 花岡住職は「人は思わずして人を傷つけてしまうもの」と語り、「最近のクレヨンには『肌色』がない。肌の色は人によって異なり、『薄だいだい色』が適切だからだ」と指摘。自分の見方が「正」、自分の世界が「真」とする考え方がいかに自己中心的であるかを説いた。

 さらに新型出生前診断(NIPT)=用語解説=で子どもの幸・不幸と社会的価値が決められてしまうことや、2016(平成28)年に起きた相模原障害者施設殺傷事件=用語解説=で犯人に肯定的な意見が報道された点について言及。「生産性」という言葉で命の分け隔てがされる社会を疑問視した上で、「あの事件を特別な思想を持った人間の犯行と片付けるのではなく、社会の闇が浮き出た事件と捉える必要がある」と訴えた。

(画像:全ての命に優劣はないと熱弁する花岡住職)
全ての命に優劣はないと熱弁する花岡住職

 また、阿弥陀如来の願いである「悉皆金色(しっかいこんじき)」の文字を黒板に書き、「全ての命には価値があり、金色に輝いている」と説明。「釈尊は生老病死を苦と説いたが、不幸とは説いていない。幸・不幸は心が線引きしているだけ」と語った。

 八木浄顯宗務総長はあいさつで「命に優劣をつけてしまうのが人間。深く考えさせられるテーマだ」と話した。

 次回は1月23日午後1時半から。講師は三菱京都病院(京都市西京区)のビハーラ僧で、文化時報社の福祉仏教入門講座でも講師を担当する本願寺派の山本成樹氏が務める。

【用語解説】ビハーラ僧(浄土真宗本願寺派など)

がん患者らの悲嘆を和らげる僧侶の専門職。布教や勧誘を行わず、傾聴を通じて相手の気持ちに寄り添う。チャプレンや臨床宗教師などと役割は同じ。浄土真宗本願寺派は、1987(昭和62)年に医療・福祉と協働して生老病死の苦しみや悲しみに向き合う仏教徒の活動「ビハーラ活動」を展開しており、2017年度と19年度には「ビハーラ僧養成研修会(仮称)」を試行。計10人が修了した。

【用語解説】新型出生前診断(NIPT)

 妊婦の血液から胎児の染色体異常を調べる手段。日本ではダウン症など3種の疾患を対象に、2013(平成25)年に始まった。受診前後の「遺伝カウンセリング」や正確な情報提供を行うため、日本医学会が400超の医療機関を実施施設として認証している。産婦人科医のいない非認証施設でも検査が行われていることや、障害・疾患への偏見を助長する可能性があることなどが問題となっている。

【用語解説】相模原障害者施設殺傷事件

 2016(平成28)年7月26日未明、相模原市の障害者施設「津久井やまゆり園」で、元職員の植松聖死刑囚が入所者19人を刺殺し、他の入所者24人と職員2人に重軽傷を負わせた。植松死刑囚は事件前から障害者を差別する発言を繰り返していたとされる。20年3月に横浜地裁で死刑判決が言い渡され、植松死刑囚は自ら控訴を取り下げて確定。22年4月に再審請求を行った。

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