検索ページへ 検索ページへ
メニュー
メニュー
TOP > 福祉仏教ピックアップ > 『文化時報』掲載記事 > 「くず籠」でありたい ビハーラ僧・山本氏講演

つながる

福祉仏教ピックアップ

「くず籠」でありたい ビハーラ僧・山本氏講演

2024年3月17日

※文化時報2024年1月30日の掲載記事です。

 真宗佛光寺派は23日、本山佛光寺(京都市下京区)で「僧伽(さんが)に学ぶ研修会」を開き、浄土真宗本願寺派のビハーラ僧=用語解説、山本成樹氏が「いのちの最期に寄り添う」と題して講演した。22人が聴講し、緩和ケア病棟の現状や生老病死の捉え方などについて理解を深めた。

(画像・アイキャッチ兼用:山本氏の話に熱心に耳を傾ける聴講者ら)
山本氏の話に熱心に耳を傾ける聴講者ら

 八木浄顯宗務総長はあいさつで、元日に起きた能登半島地震の被災状況に触れ、「いつ何が起こるか分からない世界にあって、命にどう寄り添うのかを考える機会としてほしい」と呼び掛けた。

 山本氏はビハーラ僧として2011(平成23)年4月~18年3月に独立型緩和ケア病棟「あそかビハーラ病院」(京都府城陽市)に常駐。現在は一般の急性期病院である三菱京都病院(京都市西京区)、京都桂病院(同区)、市立ひらかた病院(大阪府枚方市)でビハーラ僧として勤務している。

 講演で山本氏は、医療も宗教も生老病死の問題を避けられないと指摘。「人間は自分の思い通りにならなければ、それを苦しみと感じる。生老病死そのものは苦しみではなく、受け入れられないことが苦しみだ」と述べた。

 また、がん患者の心の声に寄り添うことが癒やしとなると強調。「死にたい」という言葉は、「生きたい」という思いがかなわないことへのつらさがあると説明した。「家族に迷惑をかけるくらいなら、早く逝きたい」という言葉が出るのは、そう気遣える良い家族関係が築かれているからだとも語った。

 その上で、「聞いた言葉の表面だけで右往左往することも、正論やきれいな慰めの言葉をかける必要もない。大切なのは、相手が思いを打ち明けてくれた関係性を信じ、ひたむきに耳を傾けること」と強調。「仏教者として、患者の心を整理する『小さなくず籠』になれれば」と話した。次回「僧伽に学ぶ研修会」は2月13日午後1時半から、本山佛光寺寝殿ホールで行われ、山本氏が登壇する。無料。

【用語解説】ビハーラ僧(浄土真宗本願寺派など)

がん患者らの悲嘆を和らげる僧侶の専門職。布教や勧誘を行わず、傾聴を通じて相手の気持ちに寄り添う。チャプレンや臨床宗教師などと役割は同じ。浄土真宗本願寺派は、1987(昭和62)年に医療・福祉と協働して生老病死の苦しみや悲しみに向き合う仏教徒の活動「ビハーラ活動」を展開しており、2017年度と19年度には「ビハーラ僧養成研修会(仮称)」を試行。計10人が修了した。

おすすめ記事

同じカテゴリの最新記事

error: コンテンツは保護されています