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生きづらさ語り合う サヘル・ローズ氏と釈徹宗氏

2024年4月8日 | 2024年7月9日更新

※文化時報2024年2月23日号の掲載記事です。

 浄土真宗本願寺派本願寺神戸別院(松本隆英輪番、神戸市中央区)は10日、兵庫教区・神戸別院の「親鸞聖人御誕生850年・立教開宗800年慶讃(きょうさん)法要」に伴う協賛行事講演会を行った。相愛大学学長の釈徹宗氏と、イラン出身の女優、サヘル・ローズ氏が「現代人の生きづらさ」をテーマに講演、対談。300人近くの門徒が聴講した。

対談する釈氏(左)とサヘル氏
対談する釈氏(左)とサヘル氏

 サヘル氏は、イラン・イラク戦争で孤児となり、本名や生年月日も分からずに育った。7歳で養母と暮らすようになり、サヘル・ローズの名を付けてもらったという。講演では、生い立ちや養母との日本での暮らしなど、凄絶(せいぜつ)な人生を詳しく振り返った。

 またサヘル氏は、現代の日本人の生きづらさに孤独があると指摘。「会員制交流サイト(SNS)の発達や家族とのコミュニケーションの喪失によって孤独が促進され、誰の瞳にも映らなくなる。生身の人間だけが本当に人を救える」と話した。

 釈氏は講題に対して、具体的な言葉ではなく声の抑揚やしぐさから発せられる「メタメッセージ」に言及。話を聞いていても興味のなさそうなそぶりが感じられるなど、直接的なメッセージとメタメッセージが一致していないことは子どもの成長に悪影響を及ぼすと言い、「思いと言葉、体験がそれぞれ一致しているかが大事」と力を込めた。

 講演後の対談では、学校が世界の大半に思えて生きづらさを感じ、自殺を選んでしまう若者がいることが話題になり、釈氏は『百喩経(ひゃくゆきょう)』という経典を紹介。250頭の牛を飼う人が1頭を死なせてしまった際、「これでは完全でない」と思って残り249頭を谷底に突き落としたという説話があるとして、「ばかな話だと思うかもしれないが、意外とわれわれも似たようなことをしてしまっている」と伝えた。

 松本輪番は「本日の行事を一つのステップとし、5月の慶讃法要に向け、お念仏とともにさらなる歩みを続けていただければ」と話していた。

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