2024年6月6日
※文化時報2024年4月19日号の掲載記事です。
浄土宗安福寺(大阪府柏原市、大﨑信人住職)と大阪府警柏原署、地元のせんべいメーカーが連携して、特殊詐欺への注意喚起をする焼き菓子「騙(だま)されませんべい」が完成し、柏原市内の2カ所で販売が始まった。
「騙されませんべい」は、警察の記章「旭日章」の焼き印が入った直径約7.5センチの玉子せんべい。安福寺の御朱印を模したパッケージの中に、特殊詐欺の事例を紹介するチラシを封入している。
発売に先駆けて3月22日には、柏原署で商品開発への協力に対する感謝状の贈呈式が行われ、中島貴世署長は「警察だけでは何もできない。地域の協力があってこそできた」と話した。
大﨑住職は「誰とも話さない日々を過ごす高齢者は、子や孫のような人から連絡が来れば協力しようとする。そんな優しさに付け込むのが特殊詐欺だ。地域での見守りが詐欺をなくす」と語った。
開発のきっかけは、昨年9月に開催した親あるあいだの語らいカフェ=用語解説=と介護者カフェ=用語解説。柏原署員が防犯教室の講師として招かれ、その時に安福寺特製の玉子せんべいに目を付けた。
府警本部への根回しなど、販売に向けた調整を終え、いよいよ販売開始と思った矢先に、「騙されませんべい」が商標登録されていることが判明。権利を有していた栃木県警職員の互助団体「県警友会」に、商標利用の許可を得ることができたという。
製造元のいたに萬幸堂(同市)の伊谷祐一代表取締役は「由緒あるお寺の住職を通じて、ご縁を頂いた。幅広く理解していただき、大阪府内全域に流通させたい」と意気込みを語った。
8枚入り300円(税込み)。同社とJR柏原駅前のスーパーヤオヒコ柏原店で販売されている。
【用語解説】親あるあいだの語らいカフェ
障害のある子やひきこもりの子の面倒を親が見られなくなる「親なきあと」の問題について、家族や当事者、支援者らが悩みを分かち合う場。文化時報社が設立した一般財団法人お寺と教会の親なきあと相談室(京都市下京区)の支部が開催している。支部数は全国16カ所。
【用語解説】介護者カフェ
在宅介護の介護者(ケアラー)らが集まり、悩みや疑問を自由に語り合うことで、分かち合いや情報交換をする場。「ケアラーズカフェ」とも呼ばれる。主にNPO法人や自治体などが行っているが、浄土宗もお寺での開催に取り組んでいる。孤立を防ぐ活動として注目される。