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〈6〉供養を大事に「家じまい」 スリーマインド

2024年7月14日 | 2024年10月2日更新

※文化時報2024年2月6日号の掲載記事です。

 遺品・生前整理の「家じまい」を手掛ける株式会社スリーマインド(屋宜明彦社長、兵庫県伊丹市)は、「供養ごとは丁寧に対応する」ことを基本ポリシーに掲げている。仏壇の〝魂抜き〟を必ず行うなど、遺品供養や慰霊祭の開催を徹底。その結果、提携する士業などの法人数が増えるとともに同社への紹介件数が増え、年間施行件数は約650件に上る。

〝魂抜き〟しない仕事は断る

 2016(平成28)年に創業したスリーマインドは、阪神間を主たる営業エリアとしている。年間施行件数約650件は、1万社を超えるといわれる同業者の中でも多いほうだ。

(画像①:スリーマインドの倉庫兼事務所)
スリーマインドの倉庫兼事務所

 基本ポリシーの一つが「故人や家族が大切にしてきた供養ごとは、丁寧に対応する」。供養業界では当たり前のように聞こえるが、家じまい業界ではそうではない。遺品・生前整理を「捨てる」「もうかる」とだけ考えているところも多いからだ。

 そのため、例えば仏壇の魂抜きについて、相見積もりを希望する遺族が、他の業者から「魂抜きなど必要ない」と言われることがよくあるのだという。

 スリーマインドでは、遺品供養に関して遺族からの希望に応じて行うことを基本にしているが、仏壇の魂抜きについては、必ず行ってもらうようにしている。

 見積もりに出向いた際、遺族に魂抜きが必要なことを話し、自分でお寺に頼むか、同社と提携しているお寺に来てもらって行うよう伝える。9割以上の遺族が後者を選び、その件数は年間60~80件となっているという。

 中には、「必要がない」と言う遺族もいるが、同社ではそうした遺族の家じまいの仕事は断っているといい、実際、年に1、2件あるというから徹底している。

(画像②アイキャッチ兼用:顧客から預かった遺品供養の様子=スリーマインド倉庫)
顧客から預かった遺品供養の様子=スリーマインド倉庫

 魂抜きを依頼するお寺は、故人が大切にしていた宗旨・宗派に極力合わせるようにしている。そのため、依頼先は20カ寺と多い。遺族がお寺に包む供養料は、車代込みで、5千~5万円と幅があるが、3万円の場合が多いという。

 仏壇の魂抜き以外に、遺族から供養を依頼された人形、神棚、仏具などの遺品は、スリーマインドの倉庫に置いておき、一定量になったらお寺に来てもらって供養している。年に3~4回行っており、依頼しているお寺は1カ寺で、1回当たり3万円(車代込み)の供養料を渡している。

お寺に依頼し慰霊祭

 このほか、同業者数社と一緒に「合同慰霊祭」を年1回、お寺で開催しており、スリーマインドのスタッフも全員参加している。

 同業者で慰霊祭まで行っているところはあまりない。目的について、屋宜社長は「一つは故人を弔い、残された家族を思うため。もう一つは、当社のスタッフも1年間でいったん区切りをつけるため」と説明する。

(画像③:合同慰霊祭を真言宗須磨寺派大本山須磨寺で営んだ)
合同慰霊祭を真言宗須磨寺派大本山須磨寺で営んだ

 依頼先のお寺の住職には、こうした目的で慰霊祭を行うことを伝えて読経してもらい、お布施として10万円を包んでいる。

 スリーマインドの集客方法は、士業、葬儀社、不動産業、介護業、行政、金融機関など法人・団体との提携による紹介がメイン。同社の「供養ごとは丁寧に対応する」という姿勢が評価され、提携数は200法人・団体を超えている。また、供養を依頼しているお寺からも「供養を大切にしている業者として、非常に喜んでいただいている」という。

 今後の方針について、屋宣社長は「家じまいは、故人とその家族に向き合うことを本気で大事にしなければならない仕事。今後もしっかりと供養していきたい」と話している。

塚本の目

 屋宜社長にインタビューさせてもらって、私が驚いたことがいくつかある。

 一つは、仏壇の魂抜きが年間60~80件と多く、手配をスリーマインドに委ねる遺族が9割以上に上っていること。「自分では手配しにくい」という理由だけでなく、「菩提寺には言いにくい」と打ち明ける遺族も多いのだという。「家じまい」でも檀家離れが進んでいる、というわけだ。

 もう一つは、仏壇の魂抜きを「必要ない」という遺族の家じまいは断っていることだ。屋宜社長は「魂抜きをしていない仏壇を捨てるのは、私だけでなく、スタッフにとってもしんどいから」だと語る。

 また、「必要ない」という遺族は経済的に厳しい人が多く、「その場合は、よくお世話になっているお寺さんに事情を話して理解いただき、安い供養料で行ってもらっている」そうだ。
 同社の姿勢こそが「お客さま第一主義」を貫いているといえるのだろう。

(画像④今回の取材相手は…)

 

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