2024年9月28日
※文化時報2024年7月23日号の掲載記事です。
子ども食堂=用語解説=の支援活動を行う認定NPO法人全国こども食堂支援センター・むすびえ(湯浅誠理事長、東京都渋谷区)は11日、子ども食堂の運営費に関する調査報告を発表した。全国に9132カ所ある子ども食堂の活動総額は、年間約349億円に上ると推計した。
子ども食堂は金銭や物品の寄付、ボランティアの稼働など、地域社会の有形無形の支援で成立している。運営費の実態把握が難しいことから、むすびえは全体像を明らかにする指標が必要として、今回の調査を実施した。
2023年9~11月に89団体で行ったサンプル調査を用いて試算。直接・間接費用や現金・物資の寄付を含めて総額約73億円、会食に限らず弁当の持ち帰りやフードパントリーなどを含めた場合は約216億円で運営されているとの推計結果となった。
また、スタッフの稼働時間を最低賃金で時給換算したマンパワーを含めると、子ども食堂の会食による交流活動を支えている費用は約143億円、全活動を支えている総額は約349億円に上った。
子ども食堂は多種多様で数人を相手にする家庭のような場所から千人単位で集まる大食堂まであり、開催も毎日や月1回など、事情により大きく異なる。開催場所として最も多いのは「集会場・コミュニティセンター」(20.6%)だが、「宗教法人施設」(8.7%)もあることが報告された。
湯浅理事長は「地域の善意を引き出す力がある子ども食堂は、地産地消をベースに持続可能な社会を築く大きな原動力になる」と強調した。
【用語解説】子ども食堂
子どもが一人で行ける無料または低額の食堂。困窮家庭やひとり親世帯を支援する活動として始まり、居場所づくりや学習支援、地域コミュニティーを形成する取り組みとしても注目される。認定NPO法人「全国こども食堂支援センター・むすびえ」の2023年の調査では、全国に少なくとも9132カ所あり、宗教施設も開設している。