2024年11月24日
※文化時報2024年9月24日号の掲載記事です。
神戸市灘区の浄土真宗本願寺派善立寺(松岡文昭住職)で10日、高齢者らが本堂に集う「なだの寺子屋」が開かれた。住職による仏教の小話に始まり、神戸大学の落語研究会に所属する学生ら3人が落語を披露。参加者の笑いを誘った。
なだの寺子屋は、地域の公園で朝のラジオ体操を行う中山久忠さん(82)、寿子さん(75)夫妻が、高齢者らの居場所をつくろうと始めた活動。檀那寺である善立寺に相談し、お寺の忙しい8月と1月を除く月1回、本堂を貸してもらっている。9月でちょうど開始から4年という。
落語だけでなく、音楽や中山夫妻による紙芝居などさまざまなイベントを行っているが、冒頭には必ず松岡住職が仏教の豆知識を話す。熱心にメモを取る参加者もいて、仏教に親しむ一助になっている。
この日は地域の高齢者に加え、併設するこども園を職業体験で訪れた中学2年生3人を含む約40人が参加した。松岡住職によると、神戸市外からの参加者や、会員制交流サイト(SNS)などを見て若者が来ることもあるという。
久忠さんはパーキンソン病の診断を受けているが、活動を通じていろいろな人と交流したり声を出したりすることで、元気に過ごせていると寿子さんは言う。のんびりした久忠さんと快活な寿子さんの人柄も、なだの寺子屋の魅力の一つだ。寿子さんは「自分からどんどん出ていくことが大切。いろいろな人に参加を働き掛けたい」と話し、地域の他のお寺や神社も居場所にする構想を描いている。