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「中間支援」お寺が要 地域団体向けに学びと相談

2025年10月25日

※文化時報2025年8月5日号の掲載記事です。

 京都府亀岡市の浄土宗光忠寺(齋藤明秀住職)が、地域で活動する団体や個人の困り事に対応する「なんでも&相談会」を始めた。資金や法人化などで悩む地域の活動家たちをお寺が要となってサポートする取り組みで、月2回ほどのペースで開いている。齋藤住職は「地域課題の解決に取り組む人がいても、相談する中間支援組織=用語解説=がない。ならばと、お寺を活用することにした」と話す。(大橋学修)

不登校の子と家族支える

 「なんでも&相談会」は齋藤住職と、困り事の解決に取り組む「NPOの悉皆屋(しっかいや) くるみ屋」を運営する久留宮(くるみや)共樹さん、若者の居場所「みんなのTERAKOYAおおいがわ」を開く國府美紀さんの3人で6月にスタート。専門知識を持つ活動家を招いた講演を行い、その後に相談会を開く形を取っている。

齋藤明秀住職
齋藤明秀住職

 6月25日に開いた第2回では、認定NPO法人おてらおやつクラブ(事務局・浄土宗安養寺、奈良県田原本町)の職員、上村康弘さんが、不登校だった自身の経験を語った。

 上村さんは、小学3年のときから不登校になり、中学校や高校でも断続的に通学できなくなった。間違えることなく宿題を提出したいなどといった完璧主義の性格だったことや、大勢で勉強することに得心できなかったことが背景だったという。

 他の生徒たちも完璧ではないことなどに気付き、練習していたギターの演奏が他の生徒に認められたことなどが契機となり、自己肯定感が高まったことを伝えた。その上で「生きていく選択肢は一つではない。いろいろな生き方があってもいい」と話した。

不登校をテーマに開いた第2回「なんでも&相談会」=6月25日)
不登校をテーマに開いた第2回「なんでも&相談会」=6月25日)

 相談会には約10人が参加し、上村さんも齋藤住職ら3人とともに相談に乗った。上村さんは、不登校の子どもを抱える両親への助言を求められ、「ご両親には、自分の人生を楽しんでほしい。その方が、子どもは元気になるケースが多い」と話していた。

行政の代わりに活動

 齋藤住職は、浄土宗宗務庁やおてらおやつクラブでの勤務を経て、現在は住職を務めながら、地域活動団体などを支援する京都府文化生活総務課の職員として従事している。

 その中で知ったのは、多くの団体がNPOなどへの法人化やガバナンス(統治)に苦労し、資金集めや仲間づくりに困っていることだった。

 光忠寺のある亀岡市には、団体を支援する「かめおか市民活動推進センター」が設置されているものの、相談支援が十分でないと感じていたという。

 齋藤住職は今年4月まで2年間、亀岡市まちづくり協働推進委員会の委員として、専門知識を持つ相談員の配置や情報発信を行うための予算確保を行うべきだと訴え続けてきたが、理解は得られなかった。

団体をつなげる場として開いた光忠寺
団体をつなげる場として開いた光忠寺

 そこで、自分で資金を調達し、学びや相談ができる場所を設けようと考えた。社会貢献に取り組む寺院の活動を支援する浄土宗ともいき財団に助成金を申請。交付を受けて活動できるようになった。

宗教施設の側面見せず

 齋藤住職は、市役所や公民館の会議室などを使った講演会と異なり、お寺で開くからこそ足を運びやすくなっていると考えている。「どういう人か分からない主催者が行うセミナーと違い、昔からある場所で、地域から認知されている人が開くから、参加へのハードルが下がるのではないか」と分析する。

 一方で、宗教施設の側面はなるべく見せないよう配慮している。お寺も地域活動団体の一つと位置付け、人が集う場になったり、人と人をつなげたりできるといった特長を生かしている。

 「なんでも&相談会」では、本堂ではなく和室を使い、お茶とお菓子でリラックスしながら語り合う場を提供。講演をきっかけとして、参加者同士で交流できるようにした。すると、それぞれの参加者が自然と連携を模索するようになった。

支援団体を運営する人にアドバイスする國府さんと久留宮さん(左から2人目と3人目)
支援団体を運営する人にアドバイスする國府さんと久留宮さん(左から2人目と3人目)

 齋藤住職は「それぞれの団体が、得意分野を生かしてつながっていくようにしたい。そうすることが、助けられる人々を増やすことにもなる」と話した。

【用語解説】中間支援組織

 市民やNPO、企業、地域、行政などの間に立ち、さまざまな活動の支援や調整を行う組織。ネットワーク、コーディネート、政策提案、資金面の支援などの機能がある。「NPOのためのNPO」と呼ばれることもある。

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