2025年7月9日
「施設の入居者や利用者に何らかの役割を持たせたことが、生きがいにつながり、心身ともに見違えるように元気になった」という事例は、このコラムの中でも何回かお伝えしてきました。今回もそうしたエピソードを一つ紹介します。

ある大手介護事業者では、施設の見学に来た人のアテンドを入居者自身が行うというユニークな取り組みを行っています。役割は自分が日ごろ使っている食堂やお風呂、部屋などを案内すること。もちろん安全のために施設長などのスタッフも同行しますが「○○さん、あそこは紹介しないのですか?」などと促すだけのサポート役に徹します。
この取り組みを行う理由について「生きがいを持ってもらうという目的もありますが、案内のために施設の中を歩くことが機能訓練にもなりますから、プラスの効果が大きいと考えました」と、担当者は語ります。
アテンド役は、施設ごとに候補者を決めて、会社から依頼するそうです。ほとんどの人が快く応じてくれるとか。「案内人」の肩書と顔写真が入った名刺が支給されると、皆さん誇らしそうな顔になるそうです。
また、それ以外の入居者も、見学者が到着する時間に合わせて玄関前に集合して出迎えるなど、施設見学には積極的に関わります。
他にもこの会社では、新型コロナウイルス感染症が広がる前までは、毎日のスタッフ朝礼に入居者も参加していたそうです。
このように入居者が「お客さま」であると同時に「運営者」の立場になることが、施設に関心を持つことにつながります。「自分が住む施設をよりよいものにしよう」という意識が、入居者同士の人間関係の改善などにも自然とつながるかもしれません。