2023年9月29日
ある大手事業者が運営する老人ホームは、JRの線路のすぐ近くに立っていました。大都市の主要幹線ということもあり、早朝から深夜までひっきりなしに電車が通ります。ホームを設計するときも、騒音が発生することを想定し、二重ガラス窓を採用したり、線路に近い側は倉庫や洗濯室にしたりと、さまざまな工夫を凝らしました。
ある大手事業者が運営する老人ホームは、JRの線路のすぐ近くに立っていました。大都市の主要幹線ということもあり、早朝から深夜までひっきりなしに電車が通ります。ホームを設計するときも、騒音が発生することを想定し、二重ガラス窓を採用したり、線路に近い側は倉庫や洗濯室にしたりと、さまざまな工夫を凝らしました。
それでも一番線路に近い2階の居室は、線路との高さがほぼ同じということもあり、列車の走行音が大きく響きました。ホーム側は「さすがにこの部屋は、入居者がないだろう」と判断し、スタッフの休憩室として活用することを検討していました。
しかし、ある日ホームの見学に来た男性が、その部屋の前で立ち止まり「ここは貸してくれないのですか」と尋ねたそうです。案内スタッフは「元々は部屋として考えていたのですが、スタッフの休憩室にする予定なので、お貸しできません」と答えましたが、その男性は「とにかく、部屋を見せてほしい」と訴えます。そして窓から外を眺めて「ここに入居します。この部屋でなかったら入居しません」と即決しました。
実はこの男性、鉄道マニアでした。目の前を走る列車を窓から日がな一日眺めることができるこの部屋は、何よりも楽しい場所だったのです。入居後は、毎月スタッフに分厚い時刻表を買ってきてもらい、それをめくりながら楽しそうに過ごしています。珍しい臨時列車などが走るときなどは、食事やレクリエーションの時間になっても部屋から出ようとしないのが、スタッフにとっては少々悩みの種になっているようですが…。
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