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福祉あるある

自宅開放し学習支援「教育で子どもは変わる」

2022年9月22日

 一般社団法人ジョイサービス代表の大澤和子さんは、埼玉県内の小学校で教員を定年まで勤め上げた。最後に担任した6年生のクラスでは、金髪に染めて登校する男児や、1人の優等生に複数人が宿題を押し付けるいじめを目撃した。

「ジョイスタディー」のTシャツを着た大澤さん
「ジョイスタディー」のTシャツを着た大澤さん

 それでも「教育によって子どもは変わる」という信念を持ち、根気強く子どもたちと向き合ってきた。退職後は、狭山市のキリスト教会で個別の学習支援を行う「ジョイスタディー」を立ち上げ、2022年1月からは「ふらっとJOY」と銘打って自宅を開放して、子ども食堂も開いている。学校に居場所がなく不登校になった子どもや、悩める保護者のための取り組みだ。

落ち着いて話ができるリビング
落ち着いて話ができるリビング

「学校なんて燃えちまえ!先生なんて死んじまえ!」

 大澤さんが出会った時、中学3年生だったA君は、激しく反抗していた。小学校卒業後、本人が納得しないうちに、特別支援学級への入学を決められたことで、自尊心が深く傷つき不登校になっていた。「もう一回勉強がしたい」。そう言ってジョイスタディーに来たという。

 最初は女子大生が勉強を教えたがうまくいかず、牧師の先生に教えてもらうようになって、徐々に落ち着いてきた。面接試験の練習も重ねて、めでたく高校受験に合格。「高校を卒業したら、好きな爬虫類(はちゅうるい)の知識が学べる専門学校に進みたい」と話すほど、前向きになった。

自宅の玄関前は、落書きができる黒板壁にリフォームした
自宅の玄関前は、落書きができる黒板壁にリフォームした

 中学生のB君は、日本語を片言しか話せない外国人の父親と2人暮らし。新型コロナウイルス感染拡大で、父親は仕事を失い、途方に暮れていた。B君は塾に通いたがっていたが、経済的に難しく、自分でジョイスタディーを探して訪ねてきたという。

 「彼は最初、『僕は頭が良くないから…』と言っていましたが、とんでもない!とてもできる子で、ジョイスタディーに通ってくるうちにもっと勉強がしたいという意欲が湧いてきました」

 「個に応じた教育の大切さ」を痛感し、頼ってくる子どもたち一人一人の成長を見守れることが人生の喜びと感じている大澤さん。体の続く限り、悩みの渦中にいる子どもたちの学習支援を続けていくという。

 

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