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福祉あるある

ICT導入に一計 介護現場にぶら下げたニンジン

2024年6月5日

 「私は機械が苦手なので、パソコンやタブレットの入力作業は嫌です。どうしてもやらなければいけないなら、退職します」

 人手不足が深刻な介護業界では、情報通信技術(ICT)などの活用による業務の効率化が不可欠です。国も介護事業者がICT機器を活用した場合には報酬を引き上げるなどの対応を行い、なんとか業務の効率化を進めようとしています。

 しかし、残念なことに冒頭のせりふのように、現場の介護スタッフが反発するケースは少なくありません。地域や職種にもよりますが、訪問ヘルパーの平均年齢が60歳以上ともいわれている中では、スマートフォン程度は使えても、パソコンに苦手意識を持つ人が多いのは仕方ないのかもしれません。

 ある有料老人ホームでも、以前から介護記録を自動で作成できるシステムを導入していましたが、一部のスタッフがかたくなに利用しないことが悩みの種でした。入力された介護記録と手書きの介護記録が混在しているのは非効率でもありました。

 そんな折、現場から「支給されたユニフォームがだいぶくたびれてきたので、新しくしてほしい」という要望が上がりました。

 そこでホーム側は一計を案じます。「手書きの介護記録が全体に占める割合が30%を切ったら、ユニフォームを刷新しましょう」と交換条件を出したのです。

 この結果、システムの利用率が上がり、ついに手書きの介護記録は30%を切るまでに。この春からデザインも一新したユニフォームが導入されました。

 「単に『便利だからICT機器を使いましょう』では、人は動きません。言葉は悪いですが、目の前にニンジンをぶら下げることも大事なのではないでしょうか」と、この施設の担当者は語っていました。

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