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「文化時報」コラム

〈21〉勝手な予測癖

2023年2月12日 | 2024年8月5日更新

※文化時報2022年6月24日号の掲載記事です。

先日夕飯の後、不意に息子がクイズを出してきました。「あなたはくじを引きました。引いたナンバーは45でした。くじは全部で何枚?」

傾聴ーいのちの叫び

 ほぼ反射的に「100」と答えたところ、「そうなんだよ。みんな自分が半分ぐらいにいるって思うらしいよ」と。つまり、くじの数を「全部で45枚」とか「全部で1万枚」と考える人は少ないのだそうです。

 「じゃ、次ね。樹齢100年の大木があります。明日、枯れそう?」

 「芽を出したばかりの苗木があります。100年後、大木になっていそう?」

 100年も生き続けてきているこの大木が、明日突然枯れることなんてまずないでしょう。枯れるにしても、何かその兆候が現れてくるはずですからね。

 芽を出したばかりの弱々しい苗木が、100年の風雪を乗り越えて大木に? ちょっと難しいかな。その確率は低いんじゃないかな。

「ははは。それ、根拠ないでしょ? どうしてそう思ったの?」

 全くおっしゃる通り。私は、無意識のうちに勝手に予測をして、そして根拠のないその予測に、これまた無意識のうちにあっという間に支配されていました。

 さらには、その勝手な予測通りにならなかったとき、噴き出すネガティブな感情を制御できないでしょう。例えば、明日の朝目が覚めて大木が倒れていたとしたら、「まさか、何で、ありえない!」と叫んでしまうはずです。 そう考えると、私が抱える負の感情の原因は、おおむね”これ”だな、と思い至りました。

 「今日のランチ、イマイチだったね」。もっとおいしいはずと勝手に予測していたのが、外れたんですね。「食べ終わった食器ぐらい洗っておいてよ」。洗っておいてくれるだろうと勝手に予測していた期待通りにいかなかっただけです。やれやれ、何ともはや。

 きっとお釈迦様は、この勝手な予測癖を戒めるお話をされていらっしゃるはず。無学な私に、皆さまどうぞご教授ください。

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