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「文化時報」コラム

㊹念仏と多様性

2023年7月21日

※文化時報2022年11月8日号の掲載記事です。

 「上映会をしたいので場所を貸してほしい」と知人を通じて依頼してきた人がいる。映画のタイトルは「みとりし」。榎木孝明さんが主演らしい。顔の知っている俳優だからといって油断はならない。よく話を聞いてみて、どうやら宗教団体がバックにいるふうでもないので、聞法会館を使っていただくことにした。

 数年前、東本願寺内にある同朋会館を坐禅や瞑想(めいそう)をする団体に貸すや貸さないで物議を醸したことがある。貸すことに強く異議を唱えた僧侶の皆さんの主張も読んだ。「本願念仏の教えを伝える一点において維持されてきた。その根本道場で坐禅や瞑想する必要があるのか」という趣旨である。

 筆者も真宗僧侶の端くれであり、この意見に大きくうなずいた。結局、予定されていたイベントは場所を変えることになったそうだ。

 筆者が預かる聞法会館は、篤信のご門徒さん親子が私財を投じて建設運営されてきた。「本願念仏の教えが広まることを願って」である。

 当然ながら、土地建物と一緒にその精神も引き継いだ。そして、同朋会館と同じく「貸館」という現実もある。何百年という歴史と数え切れないご門徒さんからの浄財で成り立っている東本願寺とは比べようもない話ではある。しかし、「その精神は?」という問いが頭をよぎる。

 プロフィルで明らかにしている通り、筆者はキリスト教系の上智大学と臨済宗系の花園大学で非常勤講師をしている。多様性を考えれば何も遠慮する話ではないが、やはり気は遣う。その大学の根本精神とは違う宗教観を持って授業をしているのだから。

 筆者が預かる聞法会館で坐禅や瞑想をする団体が場所を貸してほしいと依頼してきたらどうするだろうか? おそらく使ってもらうことになるだろう。聖書の朗読会でも同じだろう。それが「本願念仏の教えが広まることを願って」に矛盾するとは思わないからである。

 ただ、訪れる皆さんにはその願いをもって建てられ維持されている建物だということはお伝えしていく。

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