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「文化時報」コラム

㊺後見制度を考える

2023年7月31日 | 2023年8月1日更新

※文化時報2022年11月22日号の掲載記事です。

 「日本の成年後見制度=用語解説=は人権問題なので廃止せよ」と国連から日本国政府が勧告を受けている―。そんなショッキングなナレーションから番組は始まった。11月14日放送のNHKクローズアップ現代「親のお金をどう守る 認知症600万人の資産管理」である。

 現在の後見制度が抱える問題を指摘する内容であった。例えば、後見制度を使ったばかりに夫婦で温泉にも行けなくなったという高齢夫婦の嘆きが紹介されていた。

 文化時報が開催している「福祉仏教入門講座」は、後見制度の勉強を中心にしている。それは、多くの檀信徒さんに関係してくる社会問題だからである。何が問題なのかを宗教者にも知っていてほしいと願っている。

 預金者の認知症などが進行していて「判断能力なし」と銀行が判断すれば、預金が引き出せなくなるかもしれない。たとえ配偶者や実子が一緒に銀行へ行っても、である。なぜなら、預金者の財産を狙う悪人かもしれないと疑われるからである。銀行の理屈はあくまでも「預金者本人の財産を保全すること」となる。

 「そんなばかな」と思われるだろう。であれば、冒頭に紹介した番組を見てほしい。NHKもその問題を取り上げている。

 この原稿を書いている日、ある高齢男性がご自宅で命終された。たくさんの財産を残していたらしいが、終末期にそばにいたのは看護師や介護職員だけだったようだ。ちょうどひと月前にこの高齢男性と向かい合って食事をした。近隣の和食の店だった。本当においしそうに食べる姿が思い出される。家族ではないが、知った顔がたくさんあった食事会だった。

 いくら財産があっても、この世に残していかねばならない。その財産のことで家族が苦しい思いをするのなら、無一文でいいかもしれないと思ったりする。でも、それは一時のことで、やはり「自分の金」に執着してしまう。煩悩具足のこの身のまま生きるしかない。

【用語解説】成年後見制度(せいねんこうけんせいど)

 認知症や障害などで判断能力が不十分な人に代わって、財産の管理や契約事を行う人(後見人)を選ぶ制度。家庭裁判所が選ぶ法定後見制度と、判断能力のあるうちに本人があらかじめ選んでおく任意後見制度がある。

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