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「文化時報」コラム

㊽生死は時を選ばず

2023年8月31日

※文化時報2023年1月17日掲載記事です。

 年末年始に葬儀を行うお寺も多いだろう。筆者のところも今月3日に亡くなった利用者さんがいた。知らせを受けてすぐに火葬場を予約したが、それでも8日まで待たされた。年末年始は混み合うので仕方ない。でも、年間死亡者数が年々増えていくので、当然ながら火葬の順番待ちも多くなってくるだろう。

 

 お寺も除夜の鐘や修正会で忙しいと思うが、病院や福祉施設も年末年始など関係なく普段の業務がある。訪問医療・看護・介護の事業所もゆっくりしていられない。生死は時を選ばず、である。いつ電話が鳴るか分からないので落ち着かない。なかなか過酷な仕事である。

 そういう意味で訪問系の医療・福祉とお寺は相性が良いと考えている。老病死に寄り添い、365日24時間の対応を共有できる。住職が全部を対応するのではない。看護師やケアマネジャーは対応している人が多いのである。協働しない手はない。バラバラで対応すると負担も大きいが、分担すると楽になる。住職が看護や介護をするのではない。「駆け付ける」を連携するのだ。

 紙上で空想を語っているつもりはない。今年から具体的に動いてみようと思っている。訪問医療・看護・介護とお寺の共同事業を成立させてみようという構想である。

 当コラムはどれだけの皆さんに読まれているのか分からない。たまにお手紙が届いたりすると、お叱りの内容であってもうれしい。反応がないのが最も寂しい。そのためには、もっと具体的なものをお伝えしていかねばと考えている。

 3日に利用者さんが亡くなった時、2軒のご親族に電話をした。いずれも「そちらにお任せする」という返事だった。新年早々、赤の他人から身内の訃報を聞かされるのも嫌だったと思う。親族とのつながりが薄くなっている人はますます増えるだろう。こんな時代だからこそ、医療・福祉と連携したお寺の活動が求められるに違いない。今年はさらに意識を高めて書いていこうと思う。

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