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「文化時報」コラム

〈77〉その人のニーズを聞く

2024年6月21日

※文化時報2024年3月26日号の掲載記事です。

 「制度が正しいのではなく、その人のニーズが正しいのだ」。富山市にあるNPO法人「デイサービスこのゆびとーまれ」代表の惣万(そうまん)佳代子さんは話した。3月16日、大阪市生野区で開催された「地域共生ケア全国ネットワーク研究交流フォーラムin大阪」での一言だ。

 惣万さんは、高齢、障害、子どもと縦割りになっている福祉制度を一本化してはと提言している。現在は全国どこのデイサービスでも高齢・障害の枠を超えて利用できるようになっている。その第一歩を踏み出したのが、惣万さんら3人の看護師であった。だから、制度の枠を超えて利用できるデイサービスは「富山型デイサービス」と呼ばれている。

 しかし、制度の一本化には障害者団体からの強い拒否もある。「障害者の権利を守るために国と闘ってきた歴史がある。国から与えられた介護保険とは一緒にされたくない」という意見も多い。一本化を願う人、それに強い不安を感じる人、といろいろな意見を聞くことができるフォーラムであった。

 「共生とは、日本社会で暮らす在日コリアンの歴史だ」という意見もあった。フォーラムの開催された場所は「生野コリアタウン」のど真ん中。2000年代になってからの韓流ブームで若い女性を中心とした観光客が目立つようになったが、元々は朝鮮市場といわれる在日コリアンの生活の場である。第2次世界大戦前後の混乱期に故郷を追われてやってきた人たちの子孫が今も暮らしている。ウクライナやガザ地区の惨状は遠い国の話ではない。

 フォーラムのあと、近くの韓国料理店で懇親会があった。一言ずつ自己紹介する時間があり、筆者は簡単に済まそうとしたら、「お坊さんなんですよ」と補足してくれる人がいた。「へえ~」という驚きの声に続き「宗派はどちらで?」と質問してくれる人もいた。

 関心を持ってくださるのはうれしい。だが、地域共生のフォーラムに僧侶が参加していることを珍しく思われているようではだめだろう。「その人のニーズ」を聞く機会はいくらでもある。僧侶の積極的な参加が期待されている。

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