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「文化時報」コラム

〈84〉大勢の来館者

2024年9月29日 | 2024年10月2日更新

※文化時報2024年7月9日号の掲載記事です。

 「文化時報 福祉仏教入門講座」第5期のケーススタディーで出た課題を一つ。「地域の子育てママさんが『マルシェ(市場)をやりたいから場所を貸してほしい』と言ってきたらどうしますか?」。さて、読者諸氏ならどう答えるだろうか?

 これは実際に筆者の元にきた相談である。ケーススタディーでは、檀家さんならとか、近隣住民ではあるがよく知らない人ならとか、いろいろ想定しながらディスカッションが進んだ。

 筆者のところへ来たのはよく知っているママさんであった。二つ返事で聞法道場をお貸しすることにした。

 スタッフからはネガティブな意見も多く出たが、筆者が心配だったのは6月29日開催という梅雨時期の天気だけだった。

 前後の日が大雨だったのに、その日だけ雨は降らなかった。それどころか暑いくらいの日差しもあった。とても運が良かった。真言宗のあるお寺の住職ご夫妻がキッチンカーでやってきて場を盛り上げてくれた。「精進バーガー」に「煩悩バーガー」などのメニューが並び、参加者は大喜びだった。

 そして、肝心のマルシェは、地域のママさんたちのネットワークのすごさにただ驚くばかりだった。午前10時から午後3時の間、来館者は途切れることがなかった。その大多数が初めて聞法道場にやって来た人たちだった。

 「これは親鸞さんですよね?」と、道場に掛けてある絵を見て何人かが話かけてきた。御本尊は扉を閉めてあったので見えなかったが、雰囲気でお寺のにおいを感じ取ってくれたのだと思う。

 縁側に座ってソフトクリームを食べていた親子さんが「ここは落ち着きますね」とニコニコしていた。最後に撮った記念写真は若いママさんの姿がずらり。筆者の顔がにやけていると冷やかされた。

 さて、どうだろうか? 檀家さんではない人がお寺に大勢やって来る。歓迎?拒絶? 正解は各お寺によって違ってくると思う。筆者はまずは聞法道場の中に入っていただくことを優先している。

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