2023年5月14日
「メイドカフェ」など独特のコンセプトを持つ飲食店が人気です。猫やフクロウ、爬虫類(はちゅうるい)などの動物と触れ合える店や、ボードゲーム、鉄道模型など特定分野の愛好家をターゲットにしている店もあります。
介護・福祉施設は、飲食店のように不特定多数の人を対象にはしていませんが、集客が必要な点は同じです。個人的には「野球」「相撲」「釣り」「競馬」「落語」など特定のファン・マニア向けの老人ホームやデイサービスがあれば面白いと思うのですが、「特定の人向け=それ以外の人を排除する」というイメージがあることや「自治体に『ふざけている』と思われたくない」などの理由から、飲食店のように「とがる」ことはなかなか難しいようです。
それでも、中にはユニークな施設があります。例えば鉄道ファンを対象にした障害者グループホームです。一部の部屋の内装を実際の鉄道車両そっくりにしたり、共用部に運転シミュレーションゲーム機「電車でGO!」を置いたりと、かなり凝った造りです。また、本物の駅員の制服を着用するレクリエーションを行ったりしています。
面白いのはスタッフの募集がスムーズにいったこと。「福祉には興味がないが、鉄道に携われるなら」と、鉄道ファンが応募してきたそうです。ちなみに、この会社ではアニメファン向けのグループホームも運営しています。
最近は、「オタク」と呼ばれる人たちへの社会の理解が進み、若いタレントなどが公言したりしていますが、今の高齢者が若い頃は、「暗い人」のイメージがあり隠していた人も少なくありませんでした。オタク気質が強い人向けの高齢者施設の誕生は、今の若い世代が高齢化する頃なのかもしれませんね。