2023年6月4日 | 2025年3月13日更新
物事に苦戦することや、苦しみを感じることを「四苦八苦」と表現することがあります。仏教由来の言葉ですが、一つ一つの苦しみに種類があることはご存じでしょうか。
仏教の開祖であるお釈迦様は、インドのシャカ族の王子でした。そのため、食べ物も住まいもみな豪華で、不自由なく幸せに暮らしていました。
しかしある日、お城の外にも出てみたいと、東西南北にある四つの門のうちの東門へ行きました。すると、みすぼらしい老人を見つけたので、家来に「あれは何者か」と尋ねました。家来は「あれは老人です。あなたさまもいずれはそうなります」と答えました。
また違う門には病気の者、死んでしまった者を見かけ、「あれは何者か」と尋ねては、自分もいずれそうなることを告げられました。彼はその事実にひどく絶望しました。
最後の四つ目の門へ向かうと、そこには出家した修行者がいました。苦しみを克服しようとする修行者の存在を知ったお釈迦様は、自分も出家することを決意し、自らが感じた苦を生老病死という四苦として唱えたのです。
続いては、八苦の部分についてです。これは生老病死の四苦と、今から紹介する四つの苦を合わせて八苦と数えています。四苦と八苦で合計12個あるというわけではありません。
まず一つ目は、愛別離苦(あいべつりく)です。これは、愛する人と離れなければならない苦しみをいいます。二つ目は怨憎会苦(おんぞうえく)。嫌いな人に会わなければならない苦しみを表しています。いつの時代も、感じることは同じのようですね。
三つ目は求不得苦(ぐふとくく)で、求めるものが得られない苦しみのことです。そして、最後は五蘊盛苦(ごうんじょうく)です。五蘊とは、人間に備わっている、ものを感じる感覚器官を指します。物事を肉体で捉えたことによって作用する精神のはたらきともいえるもので、五感とは少し異なります。この五蘊が盛んであることによって人は、怒りや嫉妬など、多くの負の感情も持ってしまい、苦しみを感じてしまうとお釈迦様は言います。
四苦八苦は、生きる上で絶対に逃れられないものだといいます。それなら、付き合い方を考えてみることも大事ではないでしょうか。苦しみを受け入れるか、苦しみを抑えるよう努めるか。皆さんならどんな対処法を考えますか。