2023年6月16日
年齢を重ねると、心配になるのが認知症です。できればなりたくない、と思う方は多いでしょう。認知症は、元々持っている性格と、食事や運動などの生活習慣が合わさって発症するケースが多いといわれています。今回は、認知症になりやすい人の性格と生活習慣をテーマにお伝えします。
そもそも認知症とは、脳の何らかの病気や障害により、認知機能の低下が原因で日常生活にさまざまな支障が出てくる状態のことをいいます。
脳の一部が萎縮することで発症する「アルツハイマー型認知症」や、脳血管障害による「血管性認知症」、手の震えや幻覚などが起きる「レビー小体型認知症」など、認知症にはいくつかの種類があります。
以前より物忘れがひどくなった、家族の顔を見ても名前が出てこない、家を出たきり帰って来られない…。認知症の症状は、時間がたつにつれて進んでしまう傾向にありますが、日本では65歳以上で認知症の人は約600万人に上ると推計されています。
2025年には高齢者の5人に1人が認知症になるといわれています。「最近よく物忘れがひどい」と感じる方は、専門医への受診をおすすめします。早期発見、早期対応で症状の進行を抑えることが可能だからです。
これまでの複数の研究で、認知症になりやすい人の性格が分かってきました。
神経症傾向の人は、認知症になりやすいのだそうです。「怒りっぽくて、短気」「小さなことで落ち込み、引きずりやすい」「協調性が築けない」。このような性格が強めだと、認知症になりやすいといわれています。
逆に、認知症になりにくいのが「誠実な人」。「責任感が強い」「勤勉」という特徴のある人は、自分の体調や食事などに日頃から気を付けており、健康的に過ごせるのかもしれません。
では、認知症にならないために性格を変える必要はあるのでしょうか。
長年培われた性格を変えるのは、難しいでしょう。それよりも、ストレスをためないという意識が大切だと思われます。
脳への刺激は、何より予防に必要だといわれています。日頃からたくさんの人と会話したり、地域との交流を持ったりして、孤独にならない行動を取れば、自然と脳への刺激は増えます。
他にも、ウオーキングやパズルなどで体や手を動かすことも、脳への刺激になります。
楽しんで行うことができれば、最高の認知症予防策になります。すでに症状が出始めている人でも、諦めずに行動を起こすことが大事です。生きがいを見つけて笑顔が増えれば、ストレスがたまりにくくなります。
認知症になりやすい生活習慣の例を、いくつか挙げます。
●食事
肉類や、でんぷんを含むジャガイモなどの食品、アルコール、スナック菓子など。ジャンクフードが多い人は要注意です。栄養を考えない食事は認知機能を低下させるといわれています。
●睡眠不足
睡眠を十分に取らず、夜中までテレビの前に座ってぼーっと見てしまうのが当たり前という高齢者もいます。だらだら起きていても、何もいいことはありません。
睡眠中は、脳にあるグリア細胞が老廃物を食べてくれます。睡眠不足だと、グリア細胞が正常に動かなくなり、健康なシナプスから食べてしまうという研究もあるそうです。しっかり睡眠を取るよう心掛け、認知症を防ぎましょう。
●運動
適度な運動は、体と脳神経機能を改善します。海外の研究では、運動量の多いグループの方が少ないグループよりも、認知症リスクの発症が低いとの結果が出たそうです。
活発に体が動くことで、脳神経を成長させる脳由来神経栄養因子(BDNF)というタンパク質が分泌され、脳の記憶を司る海馬の機能を維持させます。
また、十分な血液が体に流れることで、脳が正常に動きます。血流改善を行うには、運動が最も適しているといえるでしょう。近い場所なら車を使わずに歩くなど、できるだけ有酸素運動をして脳細胞を活性化させましょう。
認知症のリスクを減らすためといっても、生活習慣を一気に変えることは大変かもしれません。自分がチャレンジしやすいものから取り組む努力が大切です。
また、意識すれば行動が変わり、行動が変われば自ずと習慣や性格も変わっていきます。長く、楽しく生きていきましょう。