検索ページへ 検索ページへ
メニュー
メニュー
TOP > お寺と福祉の情報局 > 介護の豆知識 > 「本人の思いが一番」成年後見制度のリアル語る

知る

お寺と福祉の情報局

「本人の思いが一番」成年後見制度のリアル語る

2024年5月18日

 障害のある人の親やきょうだいなど親族の立場にある専門家たちでつくる一般社団法人「親なきあと」相談室関西ネットワーク(藤原由親・藤井奈緒代表理事)は3月30日、大阪市立青少年センター(大阪市東淀川区)で第38回セミナーを開いた。社会福祉士の河本健二さんが登壇し、約20人を前に、現場に根差した成年後見制度=用語解説=の実態について語った。

(写真:全景 約20人が集まったセミナー会場)
全景 約20人が集まったセミナー会場

 河本さんは社会福祉士河本健二事務所(兵庫県尼崎市)の所長。生活保護世帯や非課税世帯、身寄りのない人の成年後見人を多く受任している。

 演題は「成年後見制度のリアル」。裁判所が認めている弁護士、司法書士、社会福祉士の「専門職後見人」に対する先入観を「いったん捨ててほしい」と呼び掛けた。

 「後見人がつくと、お金が自由に使えない」というイメージについては「後見人はお金の交通整理をするだけ。お金は利用者が自由に使えばいい」と強調。後見人の仕事が「財産管理と身上監護」と位置付けられていることに関しては「私は違うと思っている。本当の仕事は、本人の思いを聴き、共感し、そして実現させることだ」と持論を述べた。

 利用者本人の思いを実現させるために、さまざまな専門職や業者とチームを組むと説明。家族の思いと異なるときには、「私は迷わず利用者を守り、家族の思いを捨てる。絶対に利用者を見捨てないことが、成年後見人の役割だ」と力を込めた。

(写真:河本さん 利用者本人の思いが大切だと語る河本さん)
河本さん 利用者本人の思いが大切だと語る河本さん

 また利用者に「失敗する権利を与えることが大切だ」と指摘。学びや成長につながるよう、失敗したときには成年後見人が契約や手続きにまつわるさまざまな権利を使うと明かした。

 利用者に全く会いに来ない成年後見人がいる一方、河本さんは最低でも週に1回訪問し、受任前から通って相性を見極めてもらっている。現行の制度では、いったん後見人が選任されると原則解任できないためだという。

 それを踏まえて、後見人を選ぶ際は「『誰でもいい』では絶対にだめ。『どうでもいい』と同じになる」と語った。

【用語解説】成年後見制度

認知症や障害などで判断能力が不十分な人に代わって、財産の管理や契約事を行う人(後見人)を選ぶ制度。家庭裁判所が選ぶ法定後見制度と、判断能力のあるうちに本人があらかじめ選んでおく任意後見制度がある。

おすすめ記事

error: コンテンツは保護されています