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お寺と福祉の情報局

男性介護者が分かち合い 京都・中京「TOMO」

2022年10月1日 | 2024年1月26日更新

 男性介護者が中心に集まるケアラーズカフェ=用語解説=がある。京都市中京区で活動する男性介護者の会「TOMO」。世話人代表の奥村弘さん(76)は「ケアラーは、自分の思いを抑え込んでしまう。だから、こんな場が大切」と話す。

左が世話人代表の奥村さん
左が世話人代表の奥村さん

 「がん細胞の情報をあげるわ。すごい治療法が出てきたわ」。常連の男性は到着するや否や、治療方法を紹介した新聞記事のコピーを配りながら話した。集まったメンバーは「保険が利かへんやろ」「何百万もかかるで」などと返す。身の回りのたわいのない話にも花を咲かせ、時には介護の悩みを語り合う。

 妻を介護する89歳の男性は、妻がデイサービスに通っている時間帯を利用し、約6キロ離れた自宅から自転車でやってくる。おむつ替えや服の着せ替えを行っても、感謝の言葉は返ってこず、やるせなさを感じているという。TOMOだけが、心の内をさらけ出せる場。「真面目に介護の話もするけど、笑い話の方が多いかな」とほほ笑む。

 肉親の介護を終えても参加している田口勝義さん(76)は「介護のイライラをぶつけるところがなかなかない。この場があったことで、僕はものすごく助かった」と振り返り、「介護を体験しているから切実なつらさが分かる。だから、お役に立てればと今でも参加している」と話した。

談笑するメンバーたち
談笑するメンバーたち

 TOMOは2010年12月に発足した。世話人代表の奥村さんと前代表の山内輝昭さんが男性向けの料理教室で出会い、介護の話で意気投合したことがきっかけ。「こういう場が必要だ」と、出会ってから3カ月ほどで会を立ち上げ、毎月第2水曜に京都市中京区の「喫茶ほっとはあと」の一画を借り切って開いている。

 奥村さんは「年金があったから良かったようなものの、私は介護を理由に会社を辞めざるを得なかった。仕事と介護の問題はまだまだある。介護を受ける人への支援はあるが、介護者への支援はなく、行政に働き掛ける必要もある」と話した。

【用語解説】ケアラーズカフェ

 在宅介護の介護者(ケアラー)らが集まり、悩みや疑問を自由に語り合うことで、分かち合いや情報交換をする場。主にNPO法人や自治体などが行い、孤立を防ぐ活動として注目される。最近は「介護者カフェ」としてお寺が行うケースも増えている。

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