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臨床宗教師のケア再考 龍谷大院がシンポジウム

2023年2月7日

※文化時報2022年12月6日号の掲載記事です。

 龍谷大学大学院実践真宗学研究科は11月24日、公開シンポジウム「ケアにおける宗教性―大悲にいだかれ 心を寄せてそこにいる」をオンラインで開催した。東北大学大学院で臨床宗教師=用語解説=の養成に携わる高橋原教授や、独立型緩和ケア病棟「あそかビハーラ病院」(京都府城陽市)前ビハーラ室長の花岡尚樹氏とビハーラ僧の渡辺有氏を講師に、臨床宗教師の役割を振り返りながら、ケアに当たる宗教者の在り方を考えた。

ビハーラ僧の在り方を語る渡辺氏(左)と花岡氏
ビハーラ僧の在り方を語る渡辺氏(左)と花岡氏

 高橋教授は、東日本大震災を契機に2012(平成24)年10月に臨床宗教師の養成研修がスタートしたと説明。当時は、儀礼などによる宗教的ケアが役割として期待されていたことを示した。

 現在は、日本臨床宗教師会の倫理綱領で宗教的ケアが対象者の希望や同意があった場合に制限され、スピリチュアルケア=用語解説=に重点が置かれるようになっている。高橋教授は「宗教者が自分の宗教性を考え、死を受け止めようと考え抜いているならば、相手が自然と宗教性のある話をする」と話した。

 渡辺氏は、あそかビハーラ病院での体験から、本来はケアと関係のない宗教儀礼が結果的にケアとなっていることを例示し、「スピリチュアルケアはするものではなく、なるもの」と伝えた。

 また、宗教的ケアを行わない僧侶の在り方に言及。「大切なのは、自分自身が醸し出す雰囲気。自分が教えの中でどう生きているかが大切であり、生き方そのものがケアにつながる」と話した。

 花岡氏は、慌ただしくしている医療者によって、患者が非日常的な空間に置かれていると説明。患者の日常を取り戻す役割が僧侶にあるとし、「宗教者が、悲しむ人に寄り添うのが当たり前になることが重要」と話した。

【用語解説】臨床宗教師(りんしょうしゅうきょうし=宗教全般)

 被災者やがん患者らの悲嘆を和らげる宗教者の専門職。布教や勧誘を行わず傾聴を通じて相手の気持ちに寄り添う。2012年に東北大学大学院で養成が始まり、18年に一般社団法人日本臨床宗教師会の認定資格になった。認定者数は21年9月現在で214人。

【用語解説】スピリチュアルケア

 人生の不条理や死への恐怖など、命にまつわる根源的な苦痛(スピリチュアルペイン)を和らげるケア。傾聴を基本に行う。緩和ケアなどで重視されている。

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