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お寺の子ども食堂 障害者の就労機会にも

2023年7月22日

※文化時報2023年6月9日号の掲載記事です。

 浄土宗大本山くろ谷金戒光明寺(京都市左京区)で開かれている「くろ谷子ども食堂」(こころばかりの会主催)を訪れる京都市立白河総合支援学校(同区)の生徒が、『ミシュランガイド京都・大阪2023』で一つ星を獲得したフレンチレストラン「MOTOÏ」(モトイ)に就職する見込みとなった。シェフの前田元さんとの間を、子ども食堂に参加するスタッフがつなげた。さまざまな人が集うお寺が、障害者就労のきっかけを作った形だ。(大橋学修)

 白河総合支援学校は、障害のある16~18歳の子どもが職業訓練を受ける学校。社会貢献の意識を高めることで、就労意欲を持ってもらおうとしている。くろ谷子ども食堂には、交通事故で亡くなった幼い男の子が生前大切に育てていたひまわりの種を育てる「ひまわりの絆プロジェクト」に参加した縁で、地元の京都府警川端警察署を通じて訪れるようになった。

 そうした中、くろ谷子ども食堂のスタッフが、同校の農園で育てた野菜の使用を、知人の前田さんに打診。生徒たちがレストランを訪問してプレゼンテーションを行ったところ、前田さんは野菜の購入だけでなく、職業実習も受け入れた。実習を通じて「ぜひ働いてほしい」と思い、筧薫(かけひかおる)教諭に卒業後の就職先となることを申し出たという。

「くろ谷子ども食堂」で食事を提供する前田さん=2月9日
「くろ谷子ども食堂」で食事を提供する前田さん=2月9日

 学校側は今後、生徒と進路を話し合う際に希望を聞き取る。職業実習を体験した生徒は「とても楽しかった。将来は飲食業の仕事をしたい」と笑顔を見せた。

 くろ谷子ども食堂に参加するようになった前田さんは「飲食業界は人材不足。障害に理解のあるスタッフばかりなので、働いてもらうことに心配はない」と話している。

「お寺で支えて」

 障害のある生徒たちの就労を巡って京都市は、支援学校の卒業後も2年間はサポートしており、2015~19年の定着率は84・3%に上る。一方で、就職先から働きぶりを認められて障害者雇用枠を外れたところ、他の従業員と同様の仕事についていけず、退職した例もあるという。

 大阪府豊中市で生活困窮者向けの食堂「ごはん処おかえり」を運営し、障害のある子を持つ親の支援にも取り組む上野敏子さんは、就労でつまずいた障害のある子と親はお寺で支えられるのではないかと考える。「お寺の子ども食堂だと、地域の人たちが集まりやすいので、障害のある子と親を全体で支援できる。一念発起して、活動してほしい」と語った。

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