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医療化する看病に警鐘 僧侶招き対話・考察

2023年12月26日

※文化時報2023年11月21日号の掲載記事です。

 カトリック大阪高松大司教区の諸宗教対話委員会は10日、同大司教区司教館(大阪市中央区)で「宗教対話・仏教との対話」を行った。「病者に寄り添う仏教者」と題し、浄土宗願生寺(同市住吉区)の大河内大博住職が講話。医療化する看病に警鐘を鳴らし、参加者約40人が看病という仏道実践の形について理解を深めた。

キリスト教徒らを前にビハーラなどについて語る大河内住職
キリスト教徒らを前にビハーラなどについて語る大河内住職

 大河内住職は、身に着けた「福田衣(ふくでんね)」が仏教者としてのあるべき姿を表しており、宗派を超えて大切なものだと説明。福田衣にまつわる釈尊の教えを紹介し、仏教における善行や功徳について解説した上で、自身の活動からの気付きを語った。

 また、「『ホスピス』の概念を日本に持ち込んだのは、キリスト者の医療者」と話し、仏教版のホスピスであるビハーラ=用語解説=の誕生に大きな影響を与えたと強調。「病者に寄り添い、共生・共苦する宗教者には教義を超えたつながりがある。キリスト教からも学ぶべき点は多い」と話した。

 質疑応答では、会場から「なぜ多くの僧侶は、仏教看護に関する講話をしないのか」との声が上がり、大河内住職は「自戒を込めて申し上げるが、長い歴史の中で檀家制度にあぐらをかいてきた部分はあるだろう」と答えた。別の参加者は、自身が闘病生活で生死をさまよった過去を話し、「ビハーラ活動が今後も周知されていくことを願う」と希望した。

 諸宗教対話委員会の委員長を務めるロッコ・ビビアーノ神父は「言葉だけではない、大河内住職の善の行いの実践は、キリスト教の基本と変わらない。私たちは鏡の関係であり、お釈迦様の話を思うとき、イエスの話を思い出す」と指摘。「宗教対話の目的は共通点を見つけることではなく、心に響く点を見つけること。それが自分の信仰の高まりとなる。そして、私たちは一緒に歩むことができる」と呼び掛けた。

【用語解説】ビハーラ(仏教全般)

 サンスクリット語で「僧院」「身心の安らぎ」「休息の場所」などの意味。仏教ホスピスに代わる用語として、当時佛教大学の研究員だった田宮仁氏らが1985(昭和60)年に提唱した。その後、医療・福祉と協働し、生死にまつわる人々の苦悩を和らげる仏教徒の活動を「ビハーラ活動」と称するようになった。

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