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法華経に学ぶ支援 「語らいカフェ」講演も

2024年2月3日

※文化時報2024年1月1日号の掲載記事です。

 一般財団法人お寺と教会の親なきあと相談室(小野木康雄代表理事、京都市下京区)の支部を開設している日蓮宗上行寺船橋別院(千葉県船橋市)は昨年12月14日、「親あるあいだの語らいカフェ」を開いた。障害のある子の親やきょうだい、支援者たちが午前の講演と午後の語り合いに参加し、親が子の面倒を見られなくなる「親なきあと」について考えた。

 講演は「断らない福祉」を掲げる株式会社ふくしねっと工房(同市)の代表取締役、友野剛行氏が行った。友野氏は「高齢者の介護や教育と異なり、障害福祉にはゴールがない」と指摘。後継者育成と、のれん分けでの独立支援に力を入れつつ、強度行動障害のある人や刑罰を受けた人、家族丸ごと支援が必要な人を受け入れていると説明した。

(画像①:講演する友野氏)
講演する友野氏

 心構えとしては「過去の行動や犯罪でジャッジせず、これからだけに注目する。正面から向き合わず、距離感や言葉以外でのコミュニケーションを大切にしている」と明かした。

 話題は科学と宗教の関係に及び、近年開発の進む「量子コンピュータ」が「0か1か」ではなく「0でも1でもある」という特殊な物理現象を扱っていることを紹介。「見えないものは信じない」という人でもWi-Fiやクラウドなどの「自分を超えた何か」につながっていると強調し「人類は宗教を無視して近未来を描けるのか」と問い掛けた。

 その上で、法華経が説く十界互具=用語解説=の考えが、伴走型支援には欠かせないと伝えた。「地獄の心が分からないで、地獄の人とは向き合えない。お互いに分かり合える関係性を大切にしたいから、宗教は僕にとっての憧れや学び、心の栄養だ」と語った。

安心・安全に話せる場

 午後の語り合いは、本堂で円になって行われた。遠山玄秀副住職がファシリテーターとなり、安心・安全に思いを打ち明けられる場づくりに努めた。

(画像②アイキャッチ兼用:午後には輪になって語り合った)
午後には輪になって語り合った

 窓から陽光の入る天井の高い本堂は、落ち着いた空間とあって、参加者らはリラックスして会話。子育ての悩みや、心をどう整えるかなどについて語り合った。19歳の長男に知的障害がある及川恵さん(45)は「いろいろな立場の方からお話を聞けて、自分がどう生きていくかの分岐点になった気がした。親しみのあるお坊さんが、現場でもっと話をしてくだされば」と話した。

 遠山副住職は「毎回いろいろな気付きを頂く。場をつくる喜びを感じながら、これからも語らいカフェを続けていきたい」と語った。次回は3月14日に行われる。

(画像③:語らいカフェが行われた上行寺船橋別院の本堂)
語らいカフェが行われた上行寺船橋別院の本堂

【用語解説】十界互具(じっかいごぐ=日蓮宗、天台宗など)

 あらゆる存在を10の領域に分けた十界(仏・菩薩・縁覚・声聞・天上・人間・阿修羅・畜生・餓鬼・地獄)は、互いに十界を具(そな)えているという法華経の思想。「仏の世界にも地獄はあり、地獄の世界にも仏はある」「人間は自分の中に仏も地獄も持っている」などと説かれることが多い。

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