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主語は誰かを考える ビハーラ僧の視点解説

2024年4月6日

※文化時報2024年2月23日号の掲載記事です。

 真宗佛光寺派は13日、本山佛光寺(京都市下京区)で「僧伽(さんが)に学ぶ研修会」を開き、三菱京都病院(同市西京区)などでビハーラ僧=用語解説=を務める浄土真宗本願寺派の山本成樹氏が「私が大切にしていること」と題して講演した。

(画像:アイキャッチ兼用:ビハーラ僧の視点について語る山本成樹氏)
ビハーラ僧の視点について語る山本成樹氏

 1月23日から全3回にわたる連続講座の第2講で、この日は21人が聴講。緩和ケア病棟で患者に接する際の考え方や、グリーフ(悲嘆)ケアの在り方について学んだ。

 山本氏は今回、「主語は誰か」を論題とし、患者との向き合い方を提示。認知症になった門徒から繰り返し電話がかかってきたとき、大変なのは電話を受ける自分ではなく、不安を募らせてかけてくる相手の方だと思っていると伝えた。

 また、感情を否定せずに受け入れることが重要で、たとえ「死にたい」という言葉であっても、気持ちを肯定することがケアにつながると強調。「正直な気持ちに良い悪いはない」と訴えた。

 号泣することも正常な反応であるとし、緩和ケア病棟に箱入りのティッシュペーパーが各所に置いてあるのは、病棟内を「泣いてもいい空間」とするためであると指摘した。その上で、「故人への思いやつらさを吐き出すのは難しい。どういう思いでその人が話しているのかに、耳を傾けなければならない」と述べた。

 宗教者が持つ死生観についても解説。他者との比較によって幸福感を得ようとする人は、相対的に物事を見るからこそ苦痛を得ると示し、「比較を超えた喜びに遇(あ)うことが必要。真宗門徒には、お念仏以外にないのではないか」と語り掛けた。

【用語解説】ビハーラ僧(浄土真宗本願寺派など)

 がん患者らの悲嘆を和らげる僧侶の専門職。布教や勧誘を行わず、傾聴を通じて相手の気持ちに寄り添う。チャプレンや臨床宗教師などと役割は同じ。浄土真宗本願寺派は、1987(昭和62)年に医療・福祉と協働して生老病死の苦しみや悲しみに向き合う仏教徒の活動「ビハーラ活動」を展開しており、2017年度と19年度には「ビハーラ僧養成研修会(仮称)」を試行。計10人が修了した。

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