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親なきあと「本人がどう生きるか」 毫攝寺で対談

2024年6月4日

※文化時報2024年4月12日号の掲載記事です。

 障害のある子やひきこもりの子の親が面倒を見られなくなる「親なきあと」をテーマにした対談「親なきあとの居場所」が3月31日、真宗出雲路派本山毫攝寺(ごうしょうじ)(福井県越前市)で行われた。同派教学部長で福井県社会福祉士会副会長の泰圓澄一法(たいえんちょう・かずのり)さんと、重度の知的障害のある長女と不登校の次女の母親で、一般財団法人お寺と教会の親なきあと相談室理事の藤井奈緒さんが登壇。当事者が「親なきあと」を生きる上で、どんな課題があるかを語り合った。(主筆 小野木康雄)

(画像①アイキャッチ兼用:「親なきあとの居場所」について阿弥陀堂で対談する泰圓澄さん(右)と藤井さん=3月31日、真宗出雲路派本山毫攝寺)
「親なきあとの居場所」について阿弥陀堂で対談する泰圓澄さん(右)と藤井さん=3月31日、真宗出雲路派本山毫攝寺

 泰圓澄さんは、文化時報社が設立した同財団の支部を自坊の長慶寺(同市)に開設し、25年以上にわたる福祉職の経験を基に相談支援に当たっている。今回は毫攝寺で初開催された「あじまのお寺マルシェ」に合わせ、阿弥陀堂を会場にトークイベントを企画。参加者を交えて気楽な雰囲気で行った。

 泰圓澄さんは「障害のある人たちは、社会課題のあおりを受けやすい。お寺として『親なきあと』に取り組むことは、孤立・孤独や関係性の欠如を解決するきっかけやヒントになる」と強調した。

 藤井さんは、全国16カ所の支部が居場所づくりや分かち合いとして行う「親あるあいだの語らいカフェ」に、障害のある当事者本人が訪れることがあると指摘。「『親なきあと』は、残される本人にとって死活問題。周囲は本人が何をしたいか、どう生きたいかに焦点を当てなければならない」と語った。

 参加者の一人で越前市社会福祉協議会の大塚陽子さんは、自閉症の子や不登校の子の居場所づくりの一環として、利用者が帰宅した後のデイサービスを利用し、おにぎりを自分で握って食べてもらう活動を行っていると紹介した。

 これに応じて泰圓澄さんは「料理体験はいい取り組みだと思う。本人にとって、必要なのに圧倒的に足りないのは、情報と経験。親や周りの大人は『大丈夫だよ』と言葉をかけ、本人に試行錯誤を繰り返させることが大切」と伝えた。今後もお寺と教会の親なきあと相談室の長慶寺越前支部として、イベントを行う考えだ。

身近に和やかに あじまのお寺マルシェ

 本山毫攝寺では3月30、31の両日、「あじまのお寺マルシェ」が初めて開催された。このうち31日は真宗出雲路派仏教婦人会の総会が行われて約120人が出席したこともあり、地元の味真野(あじまの)地区をはじめ多くの人々が訪れ、和やかな春のひとときを過ごした。

(画像②:御影堂の濡れ縁にも出店があった「あじまのお寺マルシェ」)
御影堂の濡れ縁にも出店があった「あじまのお寺マルシェ」

 境内には洋服や雑貨、アクセサリー、焼き菓子などの12店が出店。御影堂(ごえいどう)の濡(ぬ)れ縁でも販売するなど、お寺をより身近に感じられるイベントとなった。

 実行委員の一人で福井工業大学3年の高木悠希さん(21)は、自家焙煎(ばいせん)のコーヒーショップ「One life coffee」を構えた。「小さい頃からよく境内で遊んでいた。マルシェを開いて人を呼ぶことで、お世話になった毫攝寺に恩返しをしたい」と語った。

 藤光真門主は、北陸新幹線金沢―敦賀間の開業によるにぎわいの創出に期待しつつ「ここは地域に根付いたお寺で、近所の方々がよく来てくださるのがありがたい。真宗のお寺は本来、人が集って楽しく過ごせる場であるべきだ」と話していた。

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